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【おとな向け映画ガイド】

映画オタクが作った、カッコよくてカワイイ殺し屋『ガンパウダー・ミルクシェイク』

ぴあ編集部 坂口英明
22/3/6(日)

イラストレーション:高松啓二

今週末(3/11〜12)の映画公開は15本。うち全国100館以上で拡大公開される作品が『THE BATMAN-ザ・バットマン-』『ウェディング・ハイ』『しまじろうと キラキラおうこくの おうじさま』『JO1 THE MOVIE「未完成」-Go to the TOP-』の4本。中規模公開、ミニシアター系が11本です。今回は、次週3/18公開のアクション映画『ガンパウダー・ミルクシェイク』を紹介します。

『ガンパウダー・ミルクシェイク』

「ガンパウダー(火薬)とミルクシェイク」、つまり“カッコイイ”と“カワイイ”が混在する痛快アクション。銃火器をつめた「I LOVE KITTENS」のバッグを持ち、パンダ型のガラケーを使う、オレンジ色のスカジャン、日本語のロゴTシャツをまとったヒロインが繰り広げる、「秋葉原感覚のハードボイルド」です。特にクエンティン・タランティーノ作品、例えば『キル・ビル』に心ときめく人は、引き込まれてしまうはず。

タイトル部分からカラフルなネオンサイン仕立て。ずっとポップな映像が続きます。雨の夜、50s風のダイナーに少女がひとり。それがこの映画のヒロイン、サム(カレン・ギラン)です。テーブルにはホイップクリームたっぷりのミルクシェイク。ストローが2本。彼女はここで、ママ(レナ・へディ)を待っているのです。ママの仕事はプロの殺し屋。あわただしく席につくのですが、追っ手が襲い、彼女はサムを置き去りにして姿を消してしまいます。それから15年後……。

カエルの子はカエル。サムは、かつてママが属したファーム(会社)とよばれる組織のトップキラーになっています。今回も人事部長からの指令を受け、殺しを請け負うのですが、ちょいと凄腕が過剰で、組織を敵に回し、そこからは組織内の壮烈な内ゲバです。

イスラエル生まれのナヴォット・パブシャド監督はかなりの映画オタク。「この作品は、元々セルジオ・レオーネ、黒澤明、そしてヒッチコック作品にインスパイアされたんだ。 マカロニウエスタン、フィルムノワール、そして侍・浪人というジャンルの融合」といい、影響を受けた映画人もメルヴィル、ペキンパー、ジョニー・トー、ジャッキー・チェン……とタランティーノと重なるものがあります。

『キル・ビル』でアジア系のルーシー・リューが白い着物姿で登場し、梶芽衣子の映画『修羅雪姫』を思わせる立ち回りを演じていましたが、殺し屋サムは黒ずくめのいでたち。梶芽衣子の『女囚さそり』を彷彿とさせるスタイルで現れます。そのバックにかかる音楽は、マカロニウエスタン風と、オタク心はのっけから全開です。

かっこいいのはサムだけではありません。彼女が武器調達で訪れる“業務用”銃火器のレンタル交換所、表向きは図書館ですが、このぶっそうな場所を運営する3人の女性も負けてはいません。

一見控えめな図書館員、ひとたび斧のような武器トマホークとガトリング銃を持たせれば豹変するマデリン(カーラ・グギーノ)、2丁ハンマーを振り回す眼光鋭いアナ・メイ(アンジェラ・バセット)、鋼のチェーンであっさりと敵の首を吊るカンフー使いのフローレンス(なんと『グリーン・デスティニー』のミシェル・ヨー!)。

そして、彼女たちのあいだでも伝説の人となっていたサムのママも、娘の危機をキャッチし参戦します。ドジなのは人事部長(ポール・ジアマッティ)や追っ手の男たち。この善悪のはっきりしたコントラストも、痛快の秘訣です。

追跡劇にまきこまれ、サムと行動をともにする少女エミリーの存在も見逃せません。演じているクロエ・コールマンは、このあと『マリー・ミー』など出演作が目白押しの注目女優。こまっしゃくれていて、勇敢で、サムの弟子を自称する女の子。サムのアシストで、真っ赤なポルシェのハンドルを操作する駐車場の追跡シーンも見せ場のひとつです。「『ブリット』や『フレンチ・コネクション』のような1970年代のカーチェイス映画へのオマージュにしたいと思った」とパブシャド監督。

そんな映画ファンならではの演出が随所に詰め込まれていて、ホント、瞬きする暇なしです。

【ぴあ水先案内から】

立川直樹さん(プロデューサー、ディレクター)
「……古今東西のアクション名場面を自由自在に引用し、CG抜きの生身のアクションにバイオレンスとユーモアを融合させた“劇画”のりのおもしろい映画……」

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高松啓二さん(イラストレーター)
「……女版『ジョン・ウィック』かな。」

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