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『インディ・ジョーンズ』映画シリーズ完全ガイドVol.2

人気のシリーズの映画の歴代作品をおさらいし、各作品の解説、あらすじ、作品が公開された背景、トリビア、そして最新作の情報をまとめて紹介します。

1分でわかる
『インディ・ジョーンズ』

✅ ハリソン・フォード主演のアドベンチャー大作シリーズ。ヒットメイカーのジョージ・ルーカスとスティーヴン・スピルバーグがタッグを組んで制作にあたった。

✅ 考古学者で冒険家のインディアナ・ジョーンズが毎作、謎や秘宝の解明をめざして大冒険を繰り広げる。

✅ 1981年に第1作目が公開され、2023年までに全5本の映画が公開。ほかにもテレビシリーズやテーマパークのアトラクション、小説など様々なジャンルに進出した。

解説動画も合わせてお楽しみください

シリーズ作品の紹介

『レイダース/失われたアーク《聖櫃》』

(1981年/米/115分)

監督:スティーヴン・スピルバーグ
出演:ハリソン・フォード、カレン・アレン、ジョン・リス=デイヴィス、ポール・フリーマン

1981年の6月にアメリカで、日本では同年の12月に公開された記念すべき第1作目。

舞台は1936年。考古学者のインディ・ジョーンズは、米陸軍情報部から「ナチス・ドイツが、聖櫃(アーク)の発掘を開始した」との情報を入手する。アークは、旧約聖書に書かれている十戒が刻まれた石板をおさめた箱のこと。ナチスが“神の力”を手にするよりも前に、インディはアークのありかを見つけ出すことができるのか?

『スター・ウォーズ』を大成功させたジョージ・ルーカスと、『ジョーズ』『未知との遭遇』でヒットメイカーの地位を確立したスティーヴン・スピルバーグ。当時、最も注目を集めていた若手フィルムメイカーがタッグを組んだことで大きな話題を呼んだ。ルーカスが原案と製作総指揮を、スピルバーグが監督を担当。

映画史に残る名作として現在も人気が高く、アカデミー賞では5部門を受賞した。

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『インディ・ジョーンズ/魔宮の伝説』

(1984年/米/118分)

監督:スティーヴン・スピルバーグ
出演:ハリソン・フォード、ケイト・キャプショー、キー・ホイ・クァン、アムリーシュ・プリー

1984年に公開されたシリーズ第2作。

『…失われたアーク《聖櫃》』の前年が舞台で、ある偶然からインドに辿り着いたインディ・ジョーンズ、相棒の少年ショート・ラウンド、そして上海のクラブ歌手の3人が、村の子どもたちをさらったという邪教集団の本拠地パンコット宮殿に向かう。

前作のヒットを受けて製作された続編。冒頭の上海のナイトクラブでのミュージカルシーン&大乱闘に始まり、魔宮でのギミック満載の部屋からの脱出シーン、トロッコでの追跡劇、吊り橋での対決シーンなどアクション&アドベンチャー要素が満載! その一方、グロテスクなシーンやインパクトの強い場面がシリーズの中で最も強い作品でもある。

インディの相棒を演じたキー・ホイ・クァンの名演は現在も人気が高く、彼はのちに『エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス』でアカデミー助演男優賞に輝く名優になった。

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『インディ・ジョーンズ/最後の聖戦』

(1989年/米/127分)

監督:スティーヴン・スピルバーグ
出演:ハリソン・フォード、ショーン・コネリー、リヴァー・フェニックス、アリソン・ドゥーディ

タイトルからも分かる通り、当時は“三部作の最後の作品”として1989年に公開された。

舞台は『…失われたアーク《聖櫃》』の2年後の1938年。大富豪から“イエス・キリストの聖杯”の所在をしめす石板に関する情報を得たインディは、行方不明になった石板調査隊の隊長が父ヘンリー・ジョーンズだと聞き、石板の謎を追う。やがて、インディは父と再会。しかし、いつまでも息子を子ども扱いする父ヘンリーと、長年にわたって父と疎遠だったインディの関係はギクシャクしてばかり。やがて親子は聖杯が隠されているという遺跡にたどり着く。

映画の冒頭ではリバー・フェニックス演じる少年時代のインディが登場するほか、シリーズに大きな影響を与えた(後述)“007”シリーズでおなじみのショーン・コネリーが父ヘンリー役で登場。アクション、親子の凸凹ドラマ、謎解きなどシリーズの全要素がバランスよく盛り込まれた作品だ。

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『インディ・ジョーンズ/クリスタル・スカルの王国』

(2008年/米/122分)

監督:スティーヴン・スピルバーグ
出演:ハリソン・フォード、カレン・アレン、シャイア・ラブーフ、ケイト・ブランシェット

前作から19年ぶりに公開されたシリーズ第4作。

第二次世界大戦が終わり、冷戦期の1957年。ソ連軍に拘束されたインディは、米軍の施設で強力な磁気を発する謎のガイコツを目撃する。何とか脱出して帰宅したインディの前に謎の青年マットが現れ、彼の母でインディの元恋人マリオンが行方不明になったという。彼はインディの息子なのか? そしてマリオンの行方は? マットと共に冒険に出たインディは、あの施設で見た謎のガイコツ=クリスタル・スカルの争奪戦に巻き込まれる。

一度は完結したと思われていたシリーズが復活を宣言し、大きな注目を集めた。スピルバーグら主要なスタッフが再集結し、3作目制作時にはまだ本格導入されていなかったデジタル技術を活用。VFXによるシーンが盛り込まれ、フィルム撮影したものをデジタル化して仕上げ作業が行われた。

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『インディ・ジョーンズと運命のダイヤル』

(2023年/米/154分)

監督:ジェームズ・マンゴールド
出演:ハリソン・フォード、マッツ・ミケルセン、アントニオ・バンデラス

主演のハリソン・フォードがシリーズ最終作であることを宣言した第5作。

舞台は1969年。勤務していた大学をリタイアしたインディの前に、旧友の娘ヘレナが現れる。彼女は、かつて父の考古学者バジルとインディがナチスから強奪した秘宝“アンティキティラのダイヤル”の行方を追っているという。一方、ナチスの残党で、現在は科学者として成功をおさめているフォラーもダイヤルの行方を追っていた。ふたつに分かれたダイヤルがすべて揃ったとき、何が起こるのか? インディの最後の冒険がはじまる。

これまで監督を務めてきたスピルバーグが製作にまわり、『フォードvsフェラーリ』のジェームズ・マンゴールドが監督に就任。アポロが月面着陸を成功させた1969年を舞台に、老インディの冒険が描かれる。デンマークの至宝マッツ・ミケルセンがインディと対峙する科学者フォラー役で出演し、ド派手なカーチェイス、謎解きも次々に登場。シリーズのフィナーレを飾る壮大なクライマックスが描かれる。

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水先案内人はこう見た!

イソガイマサト
フリーライター

前作から15年ぶり、第1作の『レイダース 失われた聖櫃(アーク)』からは実に42年ぶりとなる世界的大ヒットシリーズの第5作にして最終編。監督が前4作のスティーブン・スピルバーグから『フォードvsフェラーリ』などのジェームズ・マンゴールドにスイッチし、御年80歳のハリソン・フォードが冒険家のインディ・ジョーンズ役を続投して果たして大丈夫なのか?

観る前はそんな不安もあったけれど、列車内で繰り広げられる20分強の冒頭のたたみかけるアクションを観て、そんな心配は一気に吹っ飛んだ。脚本も担当したマンゴールド監督は、映画黄金期の連続活劇の復活に想いを馳せたシリーズの精神とチャーミングなタッチ、レトロな味わいを受け継ぎながら、それをさりげなく現代のリズムでアップデート。

究極の秘宝〈運命のダイヤル〉を狙う宿敵の元ナチスの科学者を『偽りなき者』などのマッツ・ミケルセンがクールに怪演し、インディの友人役で『マスク・オブ・ゾロ』などのアントニオ・バンデラスが参戦するなど、共演陣もグランド・フィナーレに相応しい豪華な顔ぶれに。さらに、最後の最後にはシリーズを1作目から観てきた者には、思いがけない嬉しいサプライズが。これぞ、冒険活劇!  2時間34分があっと言う間に過ぎ去る極上のエンタテインメントだ!!

そのほかの水先案内文はこちら

「彼が年齢という試練に立ち向かう姿を見たい」ハリソン・フォード&監督が語る『インディ・ジョーンズ』最新作

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【ぴあ編集部による“新視点”】
シリーズの背景と時代

1:“インディ”シリーズが現代に蘇らせたもの

本シリーズは1981年から始まっているが、その源流はルーカスやスピルバーグの少年期までさかのぼることができる。

主人公が大冒険に出かけ、秘宝を求めて未知の世界に足を踏み入れたり、敵との攻防を繰り広げる“娯楽活劇”は、かつての映画界の花形だった。『スパイ・スマッシャー』『マスク ・オブ・ゾロ(快傑ゾロ)』『ガンガ・ディン』……いくつかの作品は毎週映画館で新作が公開になる短編のシリーズで、主人公が結末で絶体絶命の危機に陥り、観客は続きが気になって翌週も映画館に足を運ぶ。

次から次へとやってくるピンチ、観客の好奇心をかき立てる謎や迷宮、ド派手なアクション、甘いロマンス……1980年当時、あまり顧みられることのなかった“古典的な冒険活劇”を新たなキャストとキャラクターで描いたのが『インディ・ジョーンズ』シリーズだった。

本シリーズは大成功をおさめ、『ロマンシング・ストーン』『ナショナル・トレジャー』『ハムナプトラ』をはじめとするアドベンチャー映画や、『トゥームレイダー』『アンチャーテッド』などの人気ゲームが登場したが、それらは“インディの後追い”というよりも、同じルーツをもつ作品といえるだろう。

本シリーズは他にも『駅馬車』をはじめとする西部劇、世界を飛びまわり活躍する“007”シリーズ、スピルバーグが愛し、のちに自ら映画化したコミック『タンタンの冒険』シリーズなどの影響も受けている。

観客を夢中にさせるキャラクター、ストーリー、舞台が揃った“王道の娯楽活劇”の伝統を本シリーズが引継ぎ、そのバトンを後続のシリーズに手渡したのだ。

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2:映画だけじゃない! “インディ”シリーズの広がり

本シリーズは第1作目『レイダース…』から大成功をおさめ、ひとまずの完結作『…最後の聖戦』の頃にはアドベンチャー映画の大人気ブランドになっていた。

その結果、“インディ”シリーズはスクリーンを飛び出し、様々なジャンルに広がっていった。映画に関する小説、コミックなどはもちろんのこと、派生シリーズとして1992年からテレビシリーズも製作されることになった。

ドラマ『インディ・ジョーンズ/若き日の大冒険』は、その名の通り、インディの若い頃の冒険を描くシリーズだ。老人になったインディが登場し、若かった頃の日々を回想する構成で、まだインディが少年だった頃、さらに成長した青年期もドラマも登場する。本シリーズは子どもたちが楽しみながら歴史を学ぶ“歴史教材”として企画された経緯があり、劇中には“アラビアのロレンス”ことトーマス・エドワード・ロレンスや、のちの仏大統領シャルル・ド・ゴール、画家パブロ・ピカソなど歴史上の偉人・有名人が続々と登場し、インディと出会う。

さらに1989年には『レイダース…』を基にしたスタントショー“インディ・ジョーンズ・エピック・スタント・スペクタキュラー!”がディズニーパークで開始。1993年にはパリのユーロ・ディズニーランド(現:ディズニーランド・パーク)に本シリーズの世界観を体感できるローラーコースター“Indiana Jones et le Temple du Péril(インディ・ジョーンズと危険の神殿)”がオープン。このアトラクションは東京ディズニーシーの“レイジングスピリッツ”の原型でもある。

さらに『インディ・ジョーンズ・アドベンチャー』が1995年にカリフォルニアのディズニーランドに、2001年には東京ディズニーランドでスタート。ディズニーランドと本シリーズのコラボレーションに関する歩みはディズニープラスで配信中のドキュメンタリー『ディズニーパークの裏側-進化し続けるアトラクションー』で楽しむことができる。

他にもビデオゲームやスピンオフ小説など、インディの冒険はメディアを横断して展開されており、今後も新たなメディアでインディの冒険が描かれることもありそうだ。

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【続編】今後の展開は?

本作はシリーズが全5作品で完結したため、今後、インディの続編がつくられる可能性は極めて低い。

しかし、本シリーズが描いてきたアドベンチャーやアクション、歴史を題材にした謎解きや、科学では説明のつかない現象を描くミステリアスな展開、そして“巻き込まれ型主人公”の魅力がつまった物語は、後続のフィルムメイカーに多大な影響を与えており、シリーズ公開時から現在にいたるまで様々な作品で本シリーズの影響を見ることができる。

いつかどこかで本シリーズを観て育った若い映画人が“新世代のインディ”を描くこともあるのではないだろうか。

(C)2023 & TM Lucasfilm Ltd.

◎文:中谷祐介(ぴあ編集部)
ぴあ編集部所属。映画、レジャーなどの取材、記事執筆、インタビューを行っている。これまでにマーティン・スコセッシ、クリストファー・マッカリーら映画監督や、ハリソン・フォード、マーゴット・ロビーらハリウッド俳優にも取材。イベント、配信番組への出演も多い。Voicyにて音声番組「ぴあ映画のトリセツ」を担当中。好きな食べ物はちくわ。

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