映画『プリティ・ウーマン』をなぜ舞台で? そのギモンに答えます!
ブロードウェイ・ミュージカル『プリティ・ウーマン』がついに日本に初登場し、 9月に上演される。本作は映画ファンを魅了し、その後のポップカルチャーに多大な影響を与えた大人気映画をベースにしたミュージカル作品。
軽快なナンバーと、心弾むサウンド、感動を呼ぶストーリー運びで観る者すべてをポジティブな気持ちにさせる必見作だ。
あの名作映画がブロードウェイでミュージカルに!
映画『プリティ・ウーマン』は1990年に公開され、全世界で約4.6億ドルを超える大ヒットを記録。翌年の米アカデミー賞では主演女優賞候補となり、ゴールデングローブ賞では主演女優賞・主演男優賞・作品賞(いずれもミュージカル・コメディ部門)など4部門でノミネートされ、さらに注目を集めた。ニューヨークから出張中の実業家とハリウッドの街角で偶然に出会った女性のふたりが、行動を共にする中で少しずつ惹かれあっていく物語は、日本でも好評を集め、主演のリチャード・ギアとジュリア・ロバーツの人気が爆発。ロマンティックなストーリーに憧れる観客が続出した。
そんな名作がブロードウェイで装いも新たにミュージカル化されたのは2018年のこと。日本でも人気のシンガーソングライター、ブライアン・アダムスが、長年の相棒ジム・ヴァランスと共同で作詞・作曲を手がけ、ミュージカル『キンキーブーツ』の演出と振付で知られるジェリー・ミッチェルが演出と振付を担当。衣裳や舞台はより豪華に、キャラクターの感情はメロディに乗せてよりドラマティックに描かれ、絶賛を集めている。
ミュージカル版はブロードウェイとロンドン・ウエストエンドで公演をスタートし、公演エリアを全世界に拡大。この秋、ついに日本での公演が実現した。
いまも観客を魅了し続ける映画『プリティ・ウーマン』
現在ではラブストーリーの“定番”のひとつとして挙げられることも多い映画『プリティ・ウーマン』。
本作は“金銭だけがすべて”の実業家と、粗野だがストレートな物言いで周囲を魅了する娼婦が偶然に出会い、一夜を共にし、行動を共にする約1週間の間に次第に距離を縮めていく物語で、リチャード・ギア演じる実業家エドワードと、ジュリア・ロバーツ演じる娼婦ヴィヴィアンの軽妙なやりとりが最大の魅力だ。
その骨格は“シンデレラストーリー”と呼ばれることもあるが、『プリティ・ウーマン』は金と地位のある男が貧しいが魅力的な女を“すくい上げる”話ではなく、お互いがお互いに影響を与え合い、変化を遂げていくドラマが中心に据えられている。
実業家のエドワードは企業買収のためにロスに出張しているが、大規模な企業買収とその後の分割・売却について、ヴィヴィアンは「盗んだ車のパーツを売るのと同じ」と言い放つ。金銭が行動原理の中心にあるエドワードは、ヴィヴィアンの視点の鋭さ、物事の中心を見抜く力に少しずつ影響される。
ヴィヴィアンは高級ドレスについて何も知らない、高級レストランのマナーも知らないが、その魅力で周囲の人々を味方につけ、少しずつ洗練された女性になっていく。しかし、彼女の“芯”は変わらない。彼女は誰かに“すくい上げられた”わけではない。誰もがヴィヴィアンのことを好きになってしまう。ドレスを着たから彼女が素敵なわけではないと観客の誰もが理解している。
ジュリア・ロバーツ演じるヒロイン像の魅力と新しさは後続のラブストーリー、恋愛ドラマに多大な影響を与えた。今回のミュージカル版は映画公開時からさらに時間が経過し、それぞれのキャラクター像、ふたりの関係がアップデートされたものになるだろう。
映画『プリティ・ウーマン』は、いつの時代も愛されるふたりが主人公の、いまの時代だから描けるラブストーリーなのだ。
映画『プリティ・ウーマン』はなぜ舞台化されるのか?
舞台で人気のミュージカルが映画化される例は多いが、映画が舞台化されるケースはそれほど多くない。近年は人気映画も多く、その勢いにのって舞台化、ドラマ化というケースも増えつつあるが、映画ファンの中には“この映画をなぜ舞台で?”と思う人もいるのではないだろうか。
映画『プリティ・ウーマン』はなぜ舞台化されるのか? 本作のルーツを探ると、その答えが見えてくる。
映画『プリティ・ウーマン』を語る際、よく“現代版の『マイ・フェア・レディ』”と称されることがある。1956年に初演された舞台は現在も上演が続く大ヒット作で、1964年にはオードリー・ヘップバーン主演で映画化され、作品賞を含むアカデミー8部門に輝いた。
『マイ・フェア・レディ』の主人公は、言語学が専門のヒギンズ教授と、下町生まれの粗野な花売り娘イライザ。ある日、ふたりは出会い、ヒギンズ教授は下品な言葉遣いのイライザを一流の“レディ”に仕立て上げようとする。やがて、ヒギンズはイライザに惹かれるようになり、イライザは粗野な娘から本物のレディに変化していく。
『プリティ・ウーマン』が『マイ・フェア・レディ』をアップデートした作品であることが分かるのではないだろうか。この種の物語は“ピグマリオンもの”とも呼ばれることがある。
ピグマリンとは、ミュージカル『マイ・フェア・レディ』が原作にしたジョージ・バーナード・ショーの戯曲『ピグマリオン』のこと。物語のベースはミュージカルと同じで、教授と粗野な娘の恋模様を描いた作品だ。
時にこの種のドラマは“相手を自分の思うように変えようとするけしからん話だ”と言われることもあるが、立場や身分の違うふたりが出会い、片方が相手を“教育”しているはずが、いつしかお互いに影響を与え合い、ふたりの間に絆が芽生える展開は時代を超えて魅力的だ。
最近では、粗野な青年が紳士的なスパイの下で修業を積み、ジェントルマン諜報員に成長する大ヒットアクション大作『キングスマン』や、地方から京都にやってきた訛りの強い少女が、言語学者の下で修業を積み、京言葉を学びながら舞妓への道を目指す『舞妓はレディ』など、新たな時代の“ピグマリンもの”も登場している。
『プリティ・ウーマン』は初登場はスクリーンだったが、そのルーツをたどれば、どれもがミュージカル&舞台を出自に持つ。本作のミュージカル化は意外でも何でもなく、自らのルーツに帰る待望のプロジェクトなのだ。
立飛グループ創立100周年記念事業PRESENTS
ブロードウェイ・ミュージカル
『プリティ・ウーマン』
■チケット情報:
https://w.pia.jp/t/prettywoman/
9月11日(水)~16日(月・祝)
新国立劇場 オペラパレス
9月18日(水)~23日(月・振休)
TACHIKAWA STAGE GARDEN
10月4日(金)~6日(日)
東大阪市文化創造館 Dream House 大ホール
公式サイト:
https://prettywomanjapan.jp/
映画『プリティ・ウーマン』招待上映イベント開催決定!
2024年8月23日(金) 19:00開映予定 会場:TOHOシネマズ 六本木ヒルズ
2024年8月24日(土) 16:00開映予定 会場:TOHOシネマズ 立川立飛
2024年8月25日(日) 14:00開映予定 会場:シネマシティ シネマ・ツー
※24日(土) の上映イベントにはアフタートークショーとして、歌舞伎界のみならずミュージカルでも活躍中の尾上右近が登壇。
応募はぴあ(アプリ)&Webにて8月12日(月) 23:59まで受付中。詳細はこちら