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ぴあ 総合TOP > ぴあ映画 > ミュージカル文筆家・町田麻子さんが語るミュージカル『プリティ・ウーマン』来日公演を観るべき理由

(C)Tsuyoshi Toya

ミュージカル文筆家・町田麻子さんが語る
ミュージカル『プリティ・ウーマン』来日公演を観るべき理由

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1990年公開の同名映画を原作として2018年3月に生まれ、同年9月より1年にわたって本場ブロードウェイで上演されたミュージカル、『プリティ・ウーマン』。もはや“古典”の領域に入った名作映画がブロードウェイを目指して舞台化される際には、現代の価値観に合わせて物語がアップデートされることが多いものだが、本作の場合は原作映画の監督と脚本家が自ら脚本を手掛けたこともあってか、物語はほぼ原作通り。ブロードウェイ公演の無料パンフレットに「SETTING: Hollywood—Once Upon a Time in the 1980s(舞台は昔々、1980年代のハリウッド)」とおとぎ話風に記されていことからも見て取れるように、誰もが知っているあの面白くて素敵な物語を、リメイクするのではなくそのままミュージカルにした作品だ。

(C)Tsuyoshi Toya

そのままミュージカルにするとは即ち、物語を語るすべての表現を、歌って踊る生の舞台に相応しいものに置き換えるということ。それをするにあたって、ジェリー・ミッチェルほど最適な演出・振付家はいなかったに違いない。『キンキーブーツ』をはじめとするミッチェル作品を観るといつも思うことだが、歌と踊りを生で味わうということをおそらくミュージカルファンと同等かそれ以上に愛し、どんな音楽と振付ならばその喜びを倍増させられるかを知り尽くしているのがこの名匠。『プリティ・ウーマン』でもその愛とセンスと経験値を十二分に発揮し、本作で初めてミュージカル音楽を手掛けたグラミー賞アーティストのブライアン・アダムスらと共に、観客の心に「あの面白くて素敵な物語を生で味わっている!」という喜びと興奮があふれる舞台を作り上げている。

Matthew Murphy for MurphyMade

また生の舞台ならではの表現と言えば、ブロードウェイで観た際にもうひとつ印象に残った趣向が「ハッピー・マン」。ひとりの俳優が、ホテルの支配人トンプソンをはじめとするいくつかの登場人物に扮するというもので、単に演じ分けているというより、まるで妖精か何かが様々な人間となって主人公ヴィヴィアンを手助けしているかのような登場の仕方が、演劇的であると同時におとぎ話的でもあり面白かった。古典的名作の物語を、生の舞台に相応しい表現で語ることに成功しているからこそ、『プリティ・ウーマン』は原作ファンにも演劇ファンにも愛されるミュージカルになったと言えるだろう。

……などと偉そうに書いておいて、実は筆者、本作は一幕までしか観られていない。スケジュールの都合上、どうしても幕間に劇場を後にせざるを得なかったのだ。最後まで見届けられないのは残念極まりなかったのだが、およそ3か月後の2019年6月、あるニュースに触れて前向きに捉えられるようになった。それは、筆者が観た時にはまだ全曲がアダムスらによる書き下ろしだった音楽に、あの印象的すぎるイントロを持つ映画のテーマソング《Oh, Pretty Woman》が追加されたというもの。『アダムス・ファミリー』然り、『バック・トゥ・ザ・フューチャー』然り、映画原作のミュージカルではなんだかんだ、テーマ曲をオーケストラが奏でてくれると気分が高揚する。そうか、最後まで観られなかったのはもう一度、今度はあの名曲が加わった“完全版”を観るためだったのか。

(C)Tsuyoshi Toya

……そう納得して再度観る気満々でいたところ、ブロードウェイ公演はほどなくして閉幕し、ウエストエンド公演が始まった頃、世界はコロナ禍に見舞われた。さらにはロシアのウクライナ侵攻の影響で、東京―ロンドン間は約15時間のロングフライトとなり、歴史的な円安まで始まった。そんなこんなでウエストエンド公演にも足を運ぶことが叶わぬまま、気付けばもう5年。ようやく“完全版”が観られる日を、個人的にも心待ちにしているし、海外旅行が困難なこの時代、ますます貴重な来日公演を逃す手はないだろう。

プロフィール

町田麻子(まちだ・あさこ)
1980年ロンドン生まれ、横浜育ちのミュージカル文筆家。2002年早大一文演劇専修、2022年東京藝大楽理科卒。公演パンフレット、演劇誌、WEB等で主にミュージカルの解説文、インタビューやレポート記事を執筆。10代からブロードウェイ観劇旅行を毎年続けるミュージカルおたく。趣味は翻訳版の妄想キャスティング。

立飛グループ創立100周年記念事業PRESENTS
ブロードウェイ・ミュージカル
『プリティ・ウーマン』

■チケット情報:
https://w.pia.jp/t/prettywoman/

9月11日(水)~16日(月・祝)
新国立劇場 オペラパレス

9月18日(水)~23日(月・振休)
TACHIKAWA STAGE GARDEN

10月4日(金)~6日(日)
東大阪市文化創造館 Dream House 大ホール

公式サイト:
https://prettywomanjapan.jp/

映画『プリティ・ウーマン』招待上映イベント開催決定!

2024年8月23日(金) 19:00開映予定 会場:TOHOシネマズ 六本木ヒルズ
2024年8月24日(土) 16:00開映予定 会場:TOHOシネマズ 立川立飛
2024年8月25日(日) 14:00開映予定 会場:シネマシティ シネマ・ツー
※24日(土) の上映イベントにはアフタートークショーとして、歌舞伎界のみならずミュージカルでも活躍中の尾上右近が登壇。

応募はぴあ(アプリ)&Webにて8月12日(月) 23:59まで受付中。詳細はこちら