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池田エライザ主演、波乱の青春ミステリーSF『リライト』──映画『時をかける少女』好きも必見!【おとなの映画ガイド】

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『リライト』 (C)2025『リライト』製作委員会

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人気ジャンルとなった“時間モノ”に、また新たな快作が加わる──池田エライザ主演の青春ミステリー『リライト』。6月13日(金) に公開される。『ちょっと思い出しただけ』の松居大悟監督が、『サマータイムマシン・ブルース』など時間SFを得意とするヨーロッパ企画の劇作家・上田誠とタッグを組み、法条遥の人気同名小説を映画化した。予想を超える展開に驚くこの作品、実は、原田知世主演・大林宣彦監督の名作『時をかける少女』への、見事なオマージュにもなっている。

『リライト』

タイムリープ映画は面白い。4次元の発想で作られているから、まさかの事象が次々起こるし、矛盾が起きないように仕込まれた巧妙かつ怪しげな伏線が、いたるところに隠れていたりする。過去や未来に行けたなら……という人間の渇望を満たしてくれる感じもあるのかもしれない。この映画も、そういった要素がふんだんに詰め込まれている。といっても、SFによくありがちなSFXやCGを多用した映像とは一線を画す。アイデアで真っ向勝負した作品なのである。

物語は、2009年7月の時点から始まる。

高校3年の美雪(池田エライザ)のクラスに保彦(阿達慶)という転校生がやってくる。美雪は、偶然、彼のタイムリープ現場を目撃してしまい、300年後の未来の人間なのだと打ち明けられる。保彦は、ある古本を読み、その舞台となった世界にあこがれてやって来たというのだ。

そしてふたりは、ひと夏の恋におちる──。

美雪は一粒だけもらった保彦のタイムリープ薬で、10年後の世界に翔ぶことになるのだが、未来の自分は、小説家になっていた。「これはあなたが書く小説。絶対書ける。」となぜか励まされ、1冊の本を見せられる。それは保彦が未来で出会う小説だったのだ。

ドラマは、高校時代と10年後の2019年、ふたつの夏で進んでいく。

……これ以上は、なるべく知らないで観てほしい。タイムリープものの面白さは、次に起こる事が見えないところにあるわけで、この映画こそ、そう来るか、の“オチ”満載なのだから。

とは言っても、原作となった法条遥の小説『リライト』を読破している人も多いと思う。それはそれで、小説がパラレルワールドに展開するのにくらべて、映画は1本の世界線でつながるものに改作されているので、新たなスリルを味わえる。あえて“違い”を見つけるもよし。

もうひとつ、大きな魅力がある。松居大悟監督が、舞台を原作の「静岡」から広島県「尾道」に移したことだ。尾道といえば、大林宣彦監督の“尾道三部作”『転校生』『時をかける少女』『さびしんぼう』の舞台となった街。

原作には、「未来から来た転校生」が登場したり、美雪が書く小説のタイトルが『時を翔る少女』だったり、「ラベンダーの香り」を求めたりと、筒井康隆の小説『時をかける少女』のオマージュを感じる設定がちりばめられているのだが、映画はさらに、大林宣彦監督の『時をかける少女』(原田知世主演)へのリスペクトも込めた。

保彦の着る夏物の学生服、美雪が着ける赤く細いタイ、陽がそそぐ理科室や、音楽室のノスタルジックで穏やかな雰囲気……、そんなところにも大林版『時をかける少女』と同じ空気が感じられる。

「細い坂道が多く、時間が止まったような風情があり、いい意味で効率的じゃないところが町の魅力になっていた。尾道で感じた風を映画のモチーフにしたいと思いました」と松居監督は語る。ケーブルカーや神社、商店街、海沿いの道、電車の通る風景など、大林作品に登場した場所が多く使われた。

役者は、美雪役の池田エライザ、クラスメートのなかでも重要な役割を担う橋本愛、倉悠貴、久保田紗友をはじめ、20代後半の実力派が顔をそろえた。同窓会ではっちゃけるシーンがあるのだが、本当に昔から馴染んでいるクラスメートたちのようで、自然な演技に驚かされる。10代パートだけの登場となる保彦役の阿達慶は、Snow Manのメンバー3名が主役の舞台『祭 GALA』にも出演したジュニア。本作が映画デビューだそうだが、これがまたピュアな中に無機質さが漂い適役。撮影当時は、まさに17歳の高校生。

さらに、大林監督の「尾道三部作」最初の『転校生』に主演した尾美としのりが高校の先生役、「新・尾道三部作」の一本、『ふたり』の石田ひかりが美雪の母親役で出演している。

“時間系”つながりになるが、映画『MONDAYS/このタイムループ、上司に気づかせないと終わらない』でループに直面するとぼけた上司役を演じたマキタスポーツがちらりと顔を見せるし、上田誠が原案・脚本を担当し、渋くヒットしたタイムループ映画『リバー、流れないでよ』の主演、藤谷理子も出演している。

「リライト」というタイトルも意味深。あちこちにこだわりのある、青春ミステリーSFなのである。

文=坂口英明(ぴあ編集部)

【ぴあ水先案内から】

中川右介さん(作家、編集者)
「……タイムパラドックスの真相と結末は、ちょっと強引というか、いくらなんでもありえないだろうと思うが、その無理を映像の力でねじ伏せてくれる。」

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