クライマックス連発! 『ジュラシック・ワールド/復活の大地』はスピルバーグの熱い思いが伝わってくる作品【おとなの映画ガイド】
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『ジュラシック・ワールド/復活の大地』 (C)2025 Universal Studios. All Rights Reserved.
続きを読む生きた恐竜をスクリーンで蘇らせ、世界中の度肝を抜いた映画『ジュラシック・パーク』が誕生したのは32年前。その後、2022年までの間にシリーズとして6作品が発表され、どれも大ヒットを飛ばしてきた。その〈新章〉といえる最新作『ジュラシック・ワールド/復活の大地』が、8月8日(金)に日本公開される。生みの親であるスティーヴン・スピルバーグと彼のスピリットを受け継ぐ人々の情熱と技術がアタマからシッポまでぎっしり詰まった、スリルと興奮を味わえる新たな娯楽巨編の誕生だ。
『ジュラシック・ワールド/復活の大地』
この映画の舞台となるのは、前作『ジュラシック・ワールド/新たなる支配者』から5年後の世界。初代『ジュラシック・パーク』開園のとき、秘密裏に恐竜”開発”を行っていた島に、隔離された恐竜たちが生息している。

“立入り禁止”のその島に、熟練の特殊工作員ゾーラ・ベネット(スカーレット・ヨハンソン)、傭兵のダンカン・キンケイド(マハーシャラ・アリ)、古生物学者のヘンリー・ルーミス(ジョナサン・ベイリー)、巨大製薬会社の社員マーティン・クレブス(ルパート・フレンド)たちが、新薬の開発に不可欠な3大恐竜のDNAを採取するため侵入し、想定外の“恐ろしい現実”と戦うことになる……。
つまり、恐竜もののドキドキ感に、インディ・ジョーンズのような“秘宝探し”の要素を加え、アドヴェンチャーもののワクワク感をミックスさせた展開。

製作総指揮にあたったのは、シリーズの生みの親であるスティーヴン・スピルバーグ。映画の原題『Jurassic World Rebirth』どおり、初心に帰り、スリルと興奮へのこだわりをもう一度突き詰める、といったスピルバーグの並々ならぬ熱意が感じられる。

例えば、冒頭。チームが孤島に向かう途中、海で遭難した一般家族を救助するのだが、そのシーンは、まるで『ジョーズ』を連想するような、震えあがる恐竜との激闘だ。のっけから魅せてくれる。
島に到着してからも、これでもか、ってくらいスリルが続くプロットは、シリーズの人気を決定づけた初代『ジュラシック・パーク』と『ロスト・ワールド/ジュラシック・パーク』を手掛けた脚本家デヴィッド・コープとスピルバーグが考えぬいて作ったもの。

監督に起用されたのは、ギャレス・エドワーズ。渡辺謙が出演した2014年版の『GODZILLA ゴジラ』や『ローグ・ワン/スター・ウォーズ・ストーリー』を成功させた“リバース”のプロだ。VFXアーティスト出身なのだが、このデジタル時代に、あえて撮影に35mmフィルムを使用し、第1作と同様の質感をめざしたというこだわりようだ。

キャストは、前作までとは一新された。シリーズ初の女性主人公、特殊工作員のゾーラ・ベネットを演じるのは、スカーレット・ヨハンソン。演技派女優でもあるヨハンソンだが、本作では『アベンジャーズ』『ブラック・ウィドウ』で定評のアクションスターの実力をみせつける。主戦場はジャングルだっていうのに、ほとんどノースリーブの服で通す、現実を度外視した威勢のよさ。見ているだけでハッピーな気持ちになるポジティブなキャラだ。本作に出演するため「最初の5分で死ぬ役でも構いません。子どもの頃からの夢なんです」とスピルバーグに直訴して、この役を勝ち取った。

そして、ゾーラが信頼をおく傭兵のダンカン・キンケイド役は、『ムーンライト』『グリーンブック』で2度のアカデミー賞を受賞した名優マハーシャラ・アリ、古生物学者のヘンリー・ルーミス役は『ウィキッド ふたりの魔女』で話題となったジョナサン・ベイリー、遭難した一家として父親役のマヌエル・ガルシア=ルルフォ、18歳と11歳の娘役のルナ・ブレイズ、オードリナ・ミランダらが脇を固める。

さて、肝心な、赤道直下の孤島に隔離されて細々と生息していた恐竜たちだが、海で最大のモササウルス、空で最大のケツァルコアトルス、そして陸で最大のティタノサウルスのほか、初登場もふくめ20種類以上が暴れまわる。その臨場感たるや凄い! 奇怪な姿をした恐竜や草食系、もちろん、人気の肉食恐竜T-レックスも意外なところで場をさらう。
中でも、体長54cmほどのペットのような「アクイロプス」に心奪われる人は多いはず。11歳の少女が茂みの中でみつけ「ドロレス」というニックネームでかわいがるようになるのだが、このドロレスも、物語のちょっとしたキーになるので、お楽しみに。
恐竜の使い方は、クリーチャーものを得意とするギャレス・エドワーズ監督の本領発揮という感じ。

さらに、あのジョン・ウィリアムスが書いたテーマソングを、アカデミー賞を2度受賞したことのあるアレクサンドル・デスプラが絶妙にアレンジして活かしているあたりも、“原点回帰”が感じられ、心打たれる。
スタッフのコメントをみると、子どものころに『ジュラシック・パーク』を観て、人生変わったという人ばかり。その熱が伝わってくる映画だ。
文=坂口英明(ぴあ編集部)

【ぴあ水先案内から】
中川右介さん(作家、編集者)
「……ともかく「理屈抜きの面白さ」とはこういうものだという見本のような映画。」
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