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ぴあ 総合TOP > ぴあ映画 > “日本のロックを変えたヤツら”を田口トモロヲ監督が宮藤官九郎脚本で描いたらこうなった! 『ストリート・キングダム 自分の音を鳴らせ。』──峯田和伸・若葉竜也・吉岡里帆演じる群像劇【おとなの映画ガイド】

“日本のロックを変えたヤツら”を田口トモロヲ監督が宮藤官九郎脚本で描いたらこうなった! 『ストリート・キングダム 自分の音を鳴らせ。』──峯田和伸・若葉竜也・吉岡里帆演じる群像劇【おとなの映画ガイド】

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ストリート・キングダム 自分の音を鳴らせ。 (C)2026映画『ストリート・キングダム』製作委員会

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田口トモロヲ×宮藤官九郎がまたもロック映画の傑作を生んでしまった! 3月27日(金)から全国公開される『ストリート・キングダム 自分の音を鳴らせ。』。パンクにハマった若者たちが巻き起こした1978年の伝説的なムーヴメントを、峯田和伸、若葉竜也W主演、吉岡里帆、仲野太賀、間宮祥太朗といった人気俳優共演で驚くぐらい見事に描いた、全編、ライヴの熱気が伝わってくる青春音楽群像劇だ。

『ストリート・キングダム 自分の音を鳴らせ。』

1970年代後半、シンプルで荒削りなサウンドと過激な歌詞でイギリスから広がったパンクロックの波は、日本にもやってきた。アンダーグラウンド的な存在ではあったけれど、先鋭的なパンクバンドがいくつか生まれ、その中から、“東京ロッカーズ”とよばれる、今までのロック文化をひっくり返すムーヴメントが始まった。

本作は、その現場でバンドの皆と苦楽を共にしたカメラマン・地引雄一の自伝的エッセイ『ストリート・キングダム』をパンクバンド「ばちかぶり」のボーカルをしていたこともある田口トモロヲ監督が、宮藤官九郎脚本で映画化した。主演のユーイチ(モデルは地引)役を峯田和伸が演じるのだが、3人は屈指の音楽青春映画『アイデン&ティティ』以来、23年ぶりのトリオ! 宮藤が監督した『少年メリケンサック』(これも名作!)で、田口は元パンクロッカー、その若い頃の役を峯田が演じたという縁でもある。

登場するのは、劇中の名称は変えているが、すべて実在したバンドとメンバー。ライヴシーンの音楽は彼らのオリジナル音源を使い、役者が合わせて演技をしている。それって、いかにも作り物って感じにならない?と思ってしまうけれど、イヤイヤ、それぞれに凄い特訓を積んだようで、まさに、あの当時のライブの臨場感だ。むしろ、当時の音源を映画館のいい音響で聴けて感激してしまうほど。

インディーズ、自主レーベル、オール・スタンディング、ロック・フェス・スタイル……、今ではごくふつうに行われているこれらも、すべて“東京ロッカーズ”が生み出したのだという。そのシーンを目撃できる。

田口監督は「そういったことの基礎を築いた人たちなのに、彼らのことを若い人たちはほとんど知らない。それを映画として面白く作れるのは自分しかいないと思ったんです」と語っている。登場するバンドの演奏を生で見ているというし、田口の空気感の記憶は貴重だ。

しかし、何という豪華なキャスティング。若葉竜也が「TOKAGE」というバンドのモモ役(モデルはLIZARDのモモヨ)、吉岡里帆がロボトメイアのサチ(「ZELDA」の小嶋さちほ)、仲野太賀は「解剖室」の未知ヲ(「ザ・スターリン」遠藤ミチロウ)、間宮祥太朗は「軋轢」のDEEP(「フリクション」レック)、中島セナが「ロボトメイア」加世子(「ZELDA」高橋佐代子)、そして、大森南朋がS-TORA(音楽プロデューサーのS-KEN)、中村獅童が「ごくつぶし」のヒロミ(「じゃがたら」の江戸アケミ)。個性溢れすぎる面々。大河ドラマの主役がはだかで、おしっこまでする役だなんて。

セットや美術もこだわっている。ロックの聖地、旧新宿LOFT、渋谷屋根裏、京都の京大西部講堂はすべて大がかりなセットで蘇らせた。フライヤーやポスター、自主制作のレコードなども、可能な限り、デザインを似せ、時代の空気をとことん追求している。

『アイデン&ティティ』ファンにとって、マギーがナイスな登場の仕方をするのもうれしいはず。峯田クンは今回ミュージシャンの役ではないけれど、若葉竜也とともにLIZARD「宣戦布告」をカヴァーしているので、彼の歌声も堪能できる。

当時のインディーズや、音楽シーンにそれほど興味がない人はついていけない内容か、というとそうではない。この映画のスピリットは、サブタイトル「自分の音を鳴らせ。」にこめられている。肝心なのは、生き方がロックであるかだ。ヒットするかしないか、お金が儲かるかどうか、名声を得られるかどうか、ではない。自分の音を鳴らせられるか、自分の踊りを踊れるか、だと語りかけてくる。

どんな世代の、どんなことをしている人にも、どこか刺さる瞬間があり、これから一歩を踏み出そうとしている人には勇気をくれる映画、だと思います。

文=坂口英明(ぴあ編集部)

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兵庫慎司さん(音楽などのライター)
「……描かれているテーマが、“昔はこうでした”に留まらない、現在にも通ずるものであるのがキモ。」

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(C)2026映画『ストリート・キングダム』製作委員会