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ぴあ

いま、最高の一本に出会える

酔いどれ天使

昭和23年。戦後の混乱はまだ収まらず、特に東宝は労働争議で大きく揺れ、4月から半年以上にわたって製作中止の状態にまで至った。そんな困難な状況のなかから生まれたのがこの「酔いどれ天使」であり、黒澤明の個性的なテーマや技法が確立された作品として記憶される。メタンガスの吹き出す、沼地周辺の貧乏人たちを診察して暮らしている飲んべえの医者と、彼から結核の宣告を受ける闇市のヤクザとの交流を描く。空いばりばかりしている人間のクズとしてヤクザを批判する視点と、彼をそこまで陥れたのは戦争だったのだという視点とが交差するなかで、新人・三船敏郎はこけた頬に眼光をギラギラさせて出色の演技を見せ、この1本でスターダムにのし上がった。以後の黒澤=三船コンビの大活躍は周知の通り。また、この作品は黒澤と音楽監督・早坂文雄との記念すべき出会いとなった。悲しい画面に「カッコウ・ワルツ」を流すという“映像と音楽との対位法“的な使い方は「野良犬」につながっていくことになる。

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