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大ヒットシリーズ完結編
『ジュラシック・ワールド/新たなる支配者』特集
古生物学者に聞く「人類は恐竜と共存することができるのか?」

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12月7日(水)ブルーレイ&DVD発売

『ジュラシック・ワールド/新たなる支配者

(C)2021 Universal Studios. All Rights Reserved.

地球を支配するのは人類か恐竜か? それとも共存は可能か!?
“恐竜博士”が語る本作のテーマと魅力に迫る!

1993年に幕を開け、恐竜たちのリアルでスリリングな映像で世界中に大興奮を巻き起こした『ジュラシック・パーク』、そして続く2018年の『ジュラシック・ワールド』シリーズの最新作にして完結編『ジュラシック・ワールド/新たなる支配者』のブルーレイ&DVDがいよいよ12月7日に発売となる。

ついに迎えた最終章では、地球を支配するのは人類か恐竜か、それとも共存という夢はかなうのか? 29年にわたり恐竜と人類の闘いと絆という両極を描いてきたシリーズが、ラストにすべての予想を遥かに超える答えを提示する……。

本特集では、古生物学者として活躍する国立科学博物館のおふたりにインタビュー。専門家ならではの視点で観る本作の面白さや最大のテーマ「人類は恐竜と共存することができるのか?」に迫ります!

古生物学者・對比地孝亘氏&木村由莉氏インタビュー

古生物学者の對比地孝亘氏(右上)と木村由莉氏(右下) 写真 画像提供:国立科学博物館

“恐竜博士”が観た本作のリアルな感想は――?

21世紀に恐竜を甦らせた『ジュラシック・ワールド』3部作の最終作にして、1993年に始まった『ジュラシック・パーク』シリーズの総決算でもある『ジュラシック・ワールド/新たなる支配者』。2022年の作品では『トップガン マーヴェリック』に次ぐ世界興収を上げた、このメガヒット作が、いよいよ配信&ソフトリリースされる。舞台となるのは、恐竜が世界に解き放たれた世界。この奇想天外な物語を、“恐竜博士”こと對比地孝亘氏は、どう見たのか?


「まるでゴジラのような怪獣映画! エンタメ性に振り切った演出でとても楽しめました」(對比地) 

對比地 「僕は『ゴジラ』のような巨大生物が暴れまわる映画が大好きですが、『ジュラシック』シリーズにもそういうエンタテインメント性はありますよね。『ジュラシック・パーク2』でティラノサウルスが市街地に現われた時点で、ゴジラのような怪獣映画になっていました。今回の新作に関しても、恐竜対恐竜の構図がゴジラとキングギドラの戦いように思える。そういう意味で、とても楽しめました」

ギガノサウルスVSティラノサウルス

多彩な恐竜が登場するのは本シリーズの見どころのひとつ。クライマックスではティラノサウルスやギガノトサウルスらが激突するバトルシーンもある。とはいえ『ジュラシック・パーク』の頃から専門家にしばし指摘されてきたことだが、恐竜の描写は必ずしも正確ではない。しかし、そこにハリウッド映画ならではの醍醐味があるのも事実。

對比地 「恐竜の描き方がカリカチュアされていて、こういう動き方は本来できない……ということを、製作側もわかってやっているんじゃないでしょうか。たとえば、テリジノサウルスは長い爪を持っていて、ギガノトサウルスとの戦いの場面ではその首を貫くような場面がありましたが、あれはありえません。

爪が異様に長いテリジノサウルス

テリジノサウルスは植物食で、そこまで凶暴性があるかというのは疑問だし、爪にしても大きな恐竜の皮や筋肉といった頑丈な構造を、一回の衝撃で貫くのは無理でしょう。それでもエンタテインメントとしては面白いし、まさに怪獣映画です。

面白いなあと思ったのは、バイクを追いかけるアトロキラプトルと、凍った湖の場面に登場するピロラプトルですね。アトロキラプトルはアゴの骨の一部しか発見されていないし、ピロラプトルも四肢の一部や尻尾の骨一個程度しか見つかっておらず、どちらも全体像は判明していません。

アトロキノラプトル(左)とピロラプトル(右)

これまで復元されていない恐竜を、あえて選んで映像化したことには驚きました。正直、恐竜の描写は専門家としては笑ってしまう場面が多々あります。でも、それは製作陣がエンタテインメント性を追求してのこと。そこにツッコミを入れるのは野暮というか、粋ではないですよね。笑って楽しむのが正しいと思っています」

古生物学者・木村由莉氏が見た“レジェンド博士の30年の軌跡”

サトラー博士とグラント博士

『ジュラシック・ワールド/新たなる支配者』の見どころは恐竜だけではない。シリーズのファンにとって嬉しいのは、『ジュラシック・パーク』の主人公というべき3人の学者エリー・サトラー、イアン・マルコム、アラン・グラントが約30年ぶりに再結集したこと。古生物学者の木村由莉氏は子どもの頃に『ジュラシック・パーク』を見て研究者を志すようになったという。そんな彼女が、憧れのサトラー博士との“再会”について語ってくれた。

「サトラー博士は先駆的な女性像! 彼らの登場シーンには心揺さぶられました」(木村)

木村 「現実の世界で、サトラー博士に近づきたいと頑張ってきた経緯があるので、やはり心を揺さぶられますね。面白かったのは、グラント博士もそうですが、彼らがこの30年の間にどういう仕事をしてきたのかが、登場してすぐにわかることです。

サトラー博士はトリケラトプスの赤ちゃんに触れて“この感覚には慣れないわね”と語りますが、この気持ちはわかります。私の仕事の根幹にあるのは、地面から発掘したものを基にして進化を理解していくことなので、生きているトリケラトプスを触るような感覚にはなれないはずなんです(笑)。

サトラー博士

ともかく、彼女は“慣れない”と言っていますから、あの世界にいて恐竜に触れることを選ばず、違うキャリアを歩んだのでしょう。一方、グラント博士は30年を経ても発掘を続けていて、化石からサイエンスを見つけるという古生物学の王道を歩んでいます。わずかなシーンですが、そこに30年の軌跡が見えたのは嬉しかったですね」

『ジュラシック・ワールド』三部作の主役格である、ブライス・ダラス・ハワード扮するクレアをはじめ、『ジュラシック』シリーズでは女性キャラクターの活躍が目に付く。本作で復帰を果たしたサトラー博士も同様だが、よく見るとさらに興味深い部分が見えてくる。

木村 「エリー・サトラー博士は古植物学者として『ジュラシック・パーク』には登場していましたが、今回の作品では農学関係のことを遺伝子レベルで調べるような研究者として登場している。つまりキャリアシフトをしているんですよね。学術領域をまたいで成功をしているという点では、ロールモデルになるような女性の学者が、そうそういないんです。そういう意味では先駆的だなと思いますね。

約30年前のサトラー博士。『ジュラシック・パーク』(1993)  写真:REX/アフロ

一方では、クリスパー・キャス9というゲノム編集技術を開発した女性の学者ふたりが、2020年にノーベル化学賞を受賞している。そういう世界になるとは思っていなかったので嬉しかったですね。ゲノム編集もそうですが、『ジュラシック』シリーズはこの後に実現するかもしれないことがしばし描かれますが、本作では女性研究者のキャリアシフトという未来を見せてもらったような気がします」

専門家の視点で見る本作のリアリティとは?

ラプトルのブルーとベータ親子

『ジュラシック』シリーズは、遺伝子操作という要素と切っても切れない関係にある。そもそも恐竜を現代に甦らせたのは、この技術によるものだ。『ジュラシック・ワールド/新たなる支配者』では、それが巨大イナゴの誕生とその暴走というかたちになって表われる。

また、シリーズを通じて登場するラプトル、ブルーが単為生殖が可能であることが判明。その結果、ベータという子どもが生まれている。人間の少女メイジーも母親と同じ遺伝的特徴をもつクローンだ。こうなると、生まれた命に対する人間の責任も問われるところ。木村氏は、本作のそのような科学における倫理の描き方にリアリティを覚えたと語る。

「人間のコントロールが及ばない出来事がドラマの主軸になっていて、驚きながら楽しめました」(木村)

木村 「『ジュラシック・パーク』では、マルコム博士が「科学者はできるかどうかばかり考えるけれど、した方が良いかどうかは考えない」というようなことを語っていますが、これは重要だと思います。前作『炎の王国』では、自分たちが甦らせた恐竜を再び絶滅させるかどうかという倫理の問題が宿っていました。

実は現実にも似たようなことが起こっていて、ヒトが原因で絶滅したスペインアイベックスの一種をクローン技術で甦らせようとしたのですが、結局生まれて数分ほどで亡くなってしまったんです。人間が絶滅に追い込んだ動物を、人間が甦らせる。そこにどんな倫理観があったのかは気になりますね。また、映画の中では遺伝子操作した巨大バッタが、自社の畑は荒らさないけれど他の畑は食い荒らすという設定になっていますが、これも倫理を問われるエピソードですね。このような技術を学者がどう考えていくかは、現実にも大事なことだと思います」

母親と同じ遺伝的特徴を持つ人間の子、メイジー(中央)

SF映画ではしばし、科学技術の発展に対する人間の妄信・過信への警鐘がテーマとなるが、『ジュラシック』シリーズはその典型。状況をコントロールできているように見えても、思わぬほころびからコントロールできない状態になっていく。その要素が、物語のスリルやサスペンスとして機能し、同時に現実味を醸し出す。

木村 「このシリーズは人間の予測を超えてくるという展開が一貫して面白いと思っています。『ジュラシック・パーク』では恐竜が繁殖しないようメスだけの恐竜を作っていましたが、実際には単為生殖で繁殖することが可能になっていました。

今回もラプトルのブルーから子どもベータが生まれています。このような人間のコントロールが及ばない出来事がドラマの主軸になっているんですよね。遺伝子操作した大きなバッタが出てきますが、あれにしても施設内にいるぶんには安全なはずで、危険が生じれば燃やして殺す。でも実際には、そうはならず、人間には制御できなくなる。それはキャラクターの予想を越えるだけでなく、見ているこちらの予測も越えてくるから、映画のエピソードとして成立しているんでしょうね。そういう意味ではシリーズを通じて、驚きながら楽しむことができました」

果たして人間と恐竜の“共存”は可能か⁉

前作のラストで示唆されたように、 『ジュラシック・ワールド/新たなる支配者』では人間社会に恐竜が解き放たれた状態に。そこでは大型の恐竜による災害も起これば、小型の恐竜を密猟して売りさばこうとする者もいるし、恐竜の保護のために活動する者もいる。混沌とした状態ではあるが、恐竜と人間が一応は共存できているようにも見える。実際に、こんなふうに恐竜が世界に棲息するようになったとしたら、共存は可能なのだろうか?

「共存にもおそらくふたつ意味があり、一方は無理でも、もう一方は可能かもしれません」 (對比地)

對比地 「真の意味での共存というのは難しいと思います。共存にはおそらくふたつ意味があり、本作のテーマ的なものとしては、人間がコントロールできて恐竜も幸せでいられるという状態があって、これがまずひとつです。しかし、それはほぼ無理でしょう。肉食の恐竜にとって人間はせいぜい、体毛の少ない、ツルツルの状態なので食べやすいエサとして認識されるくらいではないでしょうか(笑)。植物食の恐竜にしても、現在のサイやゾウもそうですが、身の危険を察したら攻撃してくるでしょう。そういう意味では、人間が恐竜の背中に乗って一緒に遊ぶとか、そういうユートピア的な共存は無理だと思います。

もうひとつの共存は、現代の人間は銃などの武器を使えますが、一方では野性のクマに襲われたり、アフリカで猛獣に襲われて亡くなられる方もいる。それもある意味、共存で、食べられる側の量が食べる側の個体数をはるかに凌いでいるので絶滅せず、それによって生態系が成り立っている状態です。こっちの共存であれば、可能かもしれません」

『ジュラシック・ワールド』Chuck Zlotnick / Universal Pictures and Amblin Entertainment

『ジュラシック・ワールド』三部作では主人公オーウェンがラプトルのブルーを調教し、絆のようなものを築き上げていたが、これも実際には無理のようだ。

對比地 「人間がラプトルに手を差し伸べた瞬間に、噛まれてしまうんじゃないでしょうか。ラプトルの脳は恐竜の中では大きい方ですが、それでも現在の鳥類ほどは大きくはないんです。鳥類の中でカラスは頭がイイと言われていますが、それが一方の極端だとすれば、もう一方の極端は例えばダチョウで、クイズ番組のネタにもされていますが、ダチョウの脳と目を比べると目の方が大きかったりするんです。

アメリカの恐竜の脳の形を研究している人によると、ダチョウは人を見るとすぐにつっついたり、蹴飛ばしたりするので、飼い慣らすのはほぼ無理なんですよ。そうすると、カラスを例に出すなら調教できる可能性もないとはいえませんが、進化の順番でいえばダチョウやニワトリの方がラプトルには近いんですよね。それを考えると、僕が映画監督だったら、主人公を噛んだり蹴りまくるラプトルを描いているでしょう(笑)。

今生きている爬虫類も、人間に慣れることはほとんどない。僕もカメやヤモリ、ヘビを研究用に飼っていますが、これら の現在の爬虫類は、人に懐いたように見えても、実際は飼育かごのフタが開いたら上からエサが降ってくるというのを反射的に学習したのでで寄ってくる……というような、感じです。恐竜の方が彼らより脳が大きいぶん認識能力は多少は上でしょうが、人間と絆を築き上げるまでのレベルは無理に近いのではないかと思います。

恐竜が人間をエサと見るか、どうでもいいものと見るか? 人間のペットとなりうるかは、脳の大きさに加えて、彼らが食べているものももちろん重要な基準になります。植物食で小型のものであれば、飼うことは可能だと思います。囲いの中で出られない状況に置いて、エサをあげておけば、襲われることはない。そういう飼い方は可能かもしれませんが、肉食の恐竜で2メートル以上の大きさのものは、まず無理でしょう。僕も昔から恐竜が好きなので、友だちのようにつきあえるといいなあとは思っていますが、実際には難しいと思います」



取材・文:相馬学

プロフィール

對比地 孝亘(ついひじ たかのぶ)
国立科学博物館 地学研究部 生命進化史研究グループ 研究主幹

東京大学理学部生物学科および地学科卒業後、米イェール大学にて博士号取得。米フィールド博物館、オハイオ大学、国立科学博物館での期限付き研究員を務めた後、東京大学大学院理学系研究科講師および准教授を経て、現職に至る。専門は恐竜類を中心とした爬虫類の進化形態学で、野外調査を行うことにより得られる化石の情報と、現生種の解剖学的知見の両方を生かした研究を行なっている。

木村 由莉(きむら ゆり)
国立科学博物館 地学研究部 生命進化史研究グループ 研究主幹

早稲田大学教育学部卒業。米国サザンメソジスト大学にて博士号取得。スミソニアン国立自然史博物館での博士研究員を経て、現職に至る。専門は陸棲哺乳類化石、特に小さな哺乳類の進化史と古生態。著書に自身の経験を綴った『もがいて、もがいて、古生物学者!!〜みんなが恐竜博士になれるわけじゃないから』(ブックマン社)などがある。

劇場版より約14分長いエクステンデッド版も収録!
ブルーレイ+DVD、4K Ultra HD+ブルーレイ12月7日発売

■ブルーレイ+DVD 5,280円(税込)
■4K Ultra HD+ブルーレイ 7,260円(税込)

【特典映像】※はDVDにも収録
エクステンデッド版/バトル・アット・ビッグ・ロック※/視覚効果の最新技術/メイキング(新旧キャスト 初めての大集合/恐竜闇市/マルタ島の追走劇/前代未聞のアニマトロニクス[ディロフォサウルス再登場/ディメトロドン大解剖イナゴの災い/ベータの誕生秘話/“ギガ”バイト︕/「ジュラシック」シリーズ 最後の夜)

※発売日、仕様、特典、デザインは都合により変更する場合がございます。
※ブルーレイ&DVD同日レンタル開始
※デジタルレンタル同日配信

シリーズ全6作品を網羅した完全パックも同時リリース!

■『ジュラシック・ワールド 6ムービー DVD コレクション(6枚組)』 9,240円(税込)
■『ジュラシック・ワールド 6ムービー ブルーレイ コレクション(6枚組)』 12,430円(税込)
■『ジュラシック・ワールド 6ムービー 4K Ultra HD コレクション(6枚組)』 22,000円(税込)
■『ジュラシック・ワールド 6ムービー ブルーレイ コレクション(6枚組)』 ブルー・フィギュア付き 22,000円(税込)
■『ジュラシック・ワールド 6ムービー 4K Ultra HD コレクション(6枚組)』 ブルー・フィギュア付き 33,000円(税込)

発売・販売元:NBCユニバーサル・エンターテインメント

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※『ジュラシック・ワールド/新たなる支配者』もキャンペーン対象タイトルです。
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国立科学博物館に行ってさらに恐竜のことを知ろう!

写真 画像提供:国立科学博物館

日本列島や日本人の歴史を辿る「日本館」と、地球全体の生物や科学技術の発展をたどる「地球館」の大きく2棟からなっている国立科学博物館。特に「地球館」B1Fには、ティラノサウルスやトリケラトプスなどの巨大な恐竜の全身骨格標本なども展示されており、見応えたっぷり! 映画をより楽しむためにも国立科学博物館に行ってさらに恐竜のことを知ろう!

国立科学博物館
【住所】東京都台東区上野公園 7-20
【開館時間】9:00 ~17:00(入館は16:30まで)
【休館日】毎週月曜日(月曜日が祝日の場合は火曜日)
年末年始(12月28日~1月1日)

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