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ぴあ 総合TOP > ぴあ映画 > 大名倒産と金融時代劇特集 “金融エンタメ時代劇”はなぜ観客を魅了するのか?

©2013「武士の献立」製作委員会 ©2014「超高速!参勤交代」製作委員会 ©2016「超高速!参勤交代 リターンズ」製作委員会 ©2016「殿、利息でござる!」製作委員会 ©2019「引っ越し大名!」製作委員会 ©2023『大名倒産』製作委員会

デジタル配信記念!
『大名倒産』と“金融エンタメ時代劇”の世界

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今年6月に公開され、スマッシュヒットを記録した映画『大名倒産』のデジタル配信がスタートした。本作は、いきなり若殿になってしまった青年が仲間と共に借金100億円の返済を目指すエンターテインメント時代劇だ。

映画界では合戦や決闘ではなく、日常にまつわる“お金”や“料理”、日々の暮らしを題材にした時代劇が数多く公開され人気を集めている。そこで本特集では、人がほとんど死なない、時代も動かさない、でも笑いと感動のつまった“金融エンタメ時代劇”の世界の魅力を紹介します!

“金融エンタメ時代劇”はなぜ観客を魅了するのか?

©2023『大名倒産』製作委員会

文:ペリー荻野

時代劇の世界では長らく勧善懲悪ものや歴史大作、任侠、お色気、人情噺などが人気を集めてきたが、近年、新たに“経済・金融”がからむ秀作が増えてきた。

貧乏藩の大名行列が猛ダッシュする羽目になる『超高速!参勤交代』『超高速!参勤交代リターンズ』、荒れた宿場町を再生させるために立ち上がった商人たちの銭バトル『殿、利息でござる!』、超低予算の大移動『引っ越し大名!』、借金返済せねば若殿が切腹という危機に陥る『大名倒産』などなど、パンチのある作品が揃う。

なぜ、経済や金融がからむと面白いのか。

第一の理由は「分かりやすい」ということだ。忠義や色恋など心の問題はなかなかゴールが見えないが、お金の問題ならば目標額もはっきりくっきり。『殿、利息でござる!』の面々は、殿様に貸し付けて利息をとるため、貯蓄目標はズバリ千両。『大名倒産』の借金は、なんと25万両(100億円)!! ひーっ、聞いただけで冷汗が……。お金の苦労は、身分も時代も関係なし。現代人も身につまされ、共感を呼べるのが大きな強みだ。

©2016「殿、利息でござる!」製作委員会

第二の理由は、泣き笑いの人間模様が描けること。目標のためには、売りまくり、削りまくり、稼ぎまくる。何もここまで……と涙目の人々を見ていると、つい笑っちゃうが、苦しい中で奇抜なアイデアを思いつき、一丸となって成功させるチームワークにぐっとくる。彼らを苦しめる悪い奴らとの直接対決も大きな見どころ。ちなみに経済・金融時代劇の悪人たちはキンキラの着物など格好が派手なのがお約束で、『大名倒産』の悪商人(キムラ緑子)の頭には、金のしゃちほこが光っていた。

©2016「超高速!参勤交代 リターンズ」製作委員会

さまざまな困難を乗り越えて、ミッションが完遂されたときの達成感は格別。笑顔で拍手できる新ジャンル時代劇。後味は、爽快だ。