どこにでもある家族のホラー……? しずちゃん、平田満ら出演『ザ・ヒューマンズ』開幕
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舞台『ザ・ヒューマンズ─人間たち』初日前会見より、左から)細川岳、青山美郷、山崎静代、平田満、増子倭文江、稲川実代子、桑原裕子
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すべて見る舞台『ザ・ヒューマンズ─人間たち』の開幕を前に6月11日、東京・新国立劇場(小劇場)にて公開フォトコールと会見が行われ、山崎静代、青山美郷、細川岳、稲川実代子、増子倭文江、平田満、演出の桑原裕子が出席した。
劇作家、脚本家として活躍するスティーヴン・キャラムによる人気作で、「A24」製作で映画化もされた本作。感謝祭を祝うべく、ニューヨークのチャイナタウンにあるアパートメントに集まった一家の姿を通じて、現代を生きる人々が抱えるさまざまな不安や葛藤を描き出す。
公開フォトコールでは、冒頭の約25分間が上演された。物語の舞台は一家の次女・ブリジット(青山)と恋人のリチャード(細川)が新たに住むことになったアパートメントで、螺旋階段で上の階と下の階がつながったメゾネットの構造になっている。
そこへ、長女で弁護士のエイミー(山崎)、フィラデルフィアから車を運転してきた父のエリック(平田)、母のディアドラ(増子)、車いすに乗せられた祖母のモモ(稲川)が入ってくる。そこで、繰り広げられるのは、ごくごく普通の家族の会話なのだが、どこの家族もそうであるように、彼らも大なり小なりの問題や不安をそれぞれに抱えている。
同性の恋人との関係を解消したばかりで傷心のエイミー、大都会で暮らす娘たちを心配しつつ、自身も何か心配事を抱えているようで、家族の問いかけにもどこか上の空のエリック、認知症を抱えた祖母のモモ。ありふれた家族の楽しい再会のひと時でありつつも、どこか不穏な空気を感じさせながら物語は進んでいく……。
演出の桑原は、コメディともホラーとも称される本作について「全然笑えないというか……(苦笑)、客席全体が『ワーッ!』と笑うようなコメディというのは、どこかに“安心”があるからこそ笑えるんだと思いますが、この作品は、客席に対して安心させてくれないところのあるお芝居です。『これは怖いのか? 面白いのか? どっちなんだろう……?』と迷って観ていただくことになると思いますが、それこそがこの作品の醍醐味で、キャストも客席も不安で、劇場に不安が充満していく感じが見どころかなと思っています」と語る。
平田も桑原の言葉にうなずき「お客様がどういうふうに見てくれるのか? 全く想像がつきません(苦笑)。稽古の時から全くわからず、桑原さんの演出だけを信じてやりますので、開けてのお楽しみです」と不安と期待の入り混じった率直な思いを口にする。
山崎は「愚かな人間たちをのぞき見してもらえたらと思います。ニューヨークのお話で、遠い国の自分とは全然関係ない話かと思っていたけど、すごく身近な話で、家族というところで、みなさんが感じたことがあるようなこと、『人間ってどこの国に住んでいても同じなんだな……』と感じてもらえるようにやりたいなと思います」と意気込みを口にする。
山崎演じるエイミーは、弁護士として働く女性ということで、普段のテレビを通じて多くの人々が抱く“しずちゃん”のイメージとは異なるタイプの役柄となるが、桑原はキャスティングについて「エイミーは弁護士でバリバリのキャリアウーマンで、達観もしていて、皮肉な言葉もいっぱい知っていて、およそ“しずちゃん”っぽくないんですけど、そこが逆に良いと思っています。しずちゃんの良さは、前に前に出て笑いを誘うというよりは、ちょっと一歩引いたところでポンっと言ったことがすごく面白かったり、言った後も『これ本人はどう思っているのかしら……?』とちょっとミステリーが残る感じだと思っていて、ひとりで何考えてるのかな?」とそそるようなイメージがしずちゃんに、私の中に元々あったので、お願いしたいなと思いました。それから、エイミーには頭が良いからこそ、一歩引きながら優しく家族を見守るようなところがあって、演じるしずちゃんの優しさ、人柄の良さが出ていて、哀しい気持ちや人の優しさを理解しているからこそ、皮肉屋を演じた時に層が見えて面白いなと思います」と説明。その言葉に山崎は「すごくありがたいです」と照れ笑いを浮かべていた。
『ザ・ヒューマンズ─人間たち』は新国立劇場にて6月29日まで上演。7月5日、6日は穂の国とよはし芸術劇場PLAT 、7月19日は茨木市文化・子育て複合施設 おにクル ゴウダホールにて上演。
取材・文・撮影:黒豆直樹
★『ザ・ヒューマンズ』特集掲載中!
第1回:舞台版と映画版を観て初めて完成する!? 映画ライターが読み解く『ザ・ヒューマンズ』
第2回:俳優・山崎静代×演出家・桑原裕子インタビュー 舞台でしか味わえない『ザ・ヒューマンズ─人間たち』の魅力
<公演情報>
シリーズ「光景─ここから先へと─」Vol.2
『ザ・ヒューマンズ─人間たち』
作:スティーヴン・キャラム
翻訳:広田敦郎
演出:桑原裕子
出演:
山崎静代、青山美郷、細川 岳、稲川実代子、増子倭文江、平田 満
【東京公演】
2025年6月12日(木)~6月29日(日)
会場:新国立劇場 小劇場
チケット情報:
https://t.pia.jp/pia/event/event.do?eventCd=2447426
■新国立シアタートーク
6月17日(火) 終演後
出演:桑原裕子、全キャスト
司会:中井美穂
入場方法:本公演チケット(いずれの日程でも可)を提示
【全国公演】
■愛知公演
2025年7月5日(土) 13:00 開演、6日(日) 13:00 開演
会場:穂の国とよはし芸術劇場PLAT 主ホール
チケット情報:
https://t.pia.jp/pia/event/event.do?eventCd=2503698
■大阪公演
2025年7月19日(土) 14:00 開演
会場:茨木市文化・子育て複合施設 おにクル ゴウダホール(大ホール)
公式サイト:
https://www.nntt.jac.go.jp/play/the-humans/
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