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こんにちは、山田洋次監督!
最新作『こんにちは、母さん』公開記念
“はじめて”の人のための山田洋次監督特集

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日本映画界を代表する名監督のひとり山田洋次監督の最新作『こんにちは、母さん』の劇場公開がスタートした。本作は山田監督にとって記念すべき90本目の監督作品で、東京の下町に生きる人々のドラマ、家族の絆、笑い、社会からはじき飛ばされてしまった人々に向ける眼差しなど、これまでの山田洋次作品のエッセンスが凝縮されている。

そこで最新作の公開を記念して、“はじめて”の人のための山田洋次監督入門を掲載! 70年以上にわたって映画ファンを魅了し続けてきた山田洋次の世界を、これを機に存分に楽しんでほしい。

今こそ観たい! 映画監督:山田洋次とは?

山田洋次監督は1961年の監督デビュー以来、一貫して松竹でメガホンをとり続けているが、扱う作品は多種多彩で、誰もが知る『男はつらいよ』シリーズだけでなく、シリアスな人間ドラマ、時代劇、アナーキーなコメディまで、そのラインナップは百花繚乱。ジャンルは異なれど、どの作品にも”山田洋次の視点”がしっかりと息づいている稀有な映画監督だ。

1931年に大阪で生まれた山田監督は、東京大学卒業後に松竹に入社し、1961年に『二階の他人』で監督デビュー。その後、いまも熱狂的なファンの多いコメディ作品『馬鹿まるだし』『喜劇 一発勝負』などの作品で頭角をあらわし、原案と脚本を手がけたドラマシリーズを引き継ぐかたちで自らメガホンをとり、1969年に映画『男はつらいよ』を発表。本シリーズは国民的なシリーズとして人気を博し、2019年公開の『男はつらいよ お帰り 寅さん』まで数多くのヒットを飛ばした。

その一方で山田監督は『男はつらいよ』シリーズと並行して、“映画作家・山田洋次”の作家性が強く打ち出された作品も数多く制作。サスペンス『霧の旗』や、ハリウッドでリメイクもされた感動作『幸福の黄色いハンカチ』、その年の映画賞を独占した時代劇『たそがれ清兵衛』や『武士の一分』など、幅広いジャンルの作品を手がけている。

長いキャリアの中では、常連の出演者がいる一方、新たな俳優ともタッグを組んでおり、つねに新しい世代の観客からの支持を得ているのも大きな特徴だ。

脚本、舞台演出……映画監督にとどまらない活躍

『釣りバカ日誌』©1988 松竹株式会社

山田洋次は映画監督だけでなく、さまざまなジャンルでも活動している。

松竹に入社して間もない頃から助監督して経験を積みながら脚本家としても活躍し、野村芳太郎監督の『ゼロの焦点』『暖流』などの脚本を執筆。監督としての地位を確立した後も、同じく野村芳太郎監督による松本清張原作の映画化『砂の器』では脚色を担当するなど“脚本家”としての活動も続けており、1988年にスタートした『釣りバカ日誌』シリーズの脚本も完結した2009年まで手がけた。

また、1977年に舞台『カルメン』の演出を手がけて以来、舞台の世界にも進出。2010年には小津安二郎監督の名作を舞台化した『麦秋』で演出を担当し、2年後には『東京物語』も舞台化。2018年には自作『家族はつらいよ』の舞台版を発表し、2023年10月には歌舞伎座「錦秋十月大歌舞伎」で『文七元結物語』を演出する。

そして、山田監督を語る上で欠かすことができないのが“落語”との関わりだ。幼少期から落語に熱中していたという山田監督は、そのキャリアを通じて市井に生きる人々の悲喜こもごも、時代を超えて愛される喜劇を描き続けており、同じ演目をさまざまな語り口と解釈で繰り返し語っていくスタイルも落語との関連を感じさせる。1966年の『運が良けりゃ』のように古典落語を下敷きにした作品もある。落語の創作も行なっており、林家正蔵や笑福亭鶴瓶など噺家を映画に俳優としてキャスティングすることも多い。