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“監視”しているのは何者なのか? 『ザ・ウォッチャーズ』が描く恐怖

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これまでにない斬新な設定で描く“覗き見”リアリティーホラー映画『ザ・ウォッチャーズ』が6月21日(金)から公開になる。本作の脚本と監督を務めるのは、M・ナイト・シャマランの愛娘イシャナ・ナイト・シャマランだ。

“監視”しているのは何者なのか? 『ザ・ウォッチャーズ』が描く恐怖

M・ナイト・シャマランの愛娘イシャナ・ナイト・シャマラン監督デビュー作『ザ・ウォッチャーズ』が6月21日(金)から公開になる。本作は、“謎の何か”が監視する奇妙な部屋に誘われた主人公が恐怖に直面する“覗き見”リアリティーホラーだ。

その部屋では夜になると“監視”が始まる

本作の主人公ミナは森で迷い、「あと5秒」という声に導かれて不思議な部屋に逃げ込む。主人公が穏やかな場所から知らず知らずのうちに恐ろしいエリアに足を踏み入れてしまうのはホラー映画の定型だが、本作で主人公が足を踏み入れるのは、斬新で、恐ろしい場所だ。

そこは何とガラス貼りの奇妙な部屋で、毎晩“謎の何か”がこの部屋を監視しているという。ミナはそこで見知らぬ3人の男女に出会う。彼らはこの部屋のことをどのぐらい知っているのだろうか?

いや、そもそもなぜこのような部屋が存在するのか? なぜ監視が始まるのは夜なのか? そして監視している者の正体は? 目的は?

なぜ人は“監視”の物語を描き続けるのか?

“監視”を題材にした物語、映画は数多く存在する。人間は社会を築いて以降、必ずどこかで“自分以外の眼”を気にしている。生きている以上、必ず誰かしらに見られている。しかし、特定の視線がずっと自分を見ているとしたら? とても身近で、圧倒的な恐ろしさがそこにはある。

監視というフレーズは時に“管理”という言葉と関連して描かれる。ジョージ・オーウェルの傑作小説『1984』では市民が常に双方向テレビや部屋・街に仕掛けられたマイクで当局に監視されているディストピアが描かれた。現在もネットや通話のログが監視、盗聴されているという話題がニュースにのぼる。

ジム・キャリー主演の映画『トゥルーマン・ショー』は平凡な男の人生が、実は隠しカメラで“監視”され、テレビで生中継されているという物語が描かれた。ジム・キャリーは愉快な役を演じているが、この設定は愉快とは言い切れない。

監視をめぐるドラマは、対象者が自分が監視されていることに気づいている場合と、気づいていない場合がある。『1984』は前者、『トゥルーマン・ショー』は後者にあたる。

フォトグラファーのウィリアム・クラインが1977年に製作した映画『モデル・カップル』は、政府が未来の都市建設のために、ある夫婦=モデル・カップルを部屋に閉じ込めてすべてを監視する様を描いた実験作。夫婦は監視されることを知っていて、自ら進んで部屋に入る。彼らの模様はテレビ中継され、学者たちが夫婦を二十四時間、監視する。

しかし『ザ・ウォッチャーズ』はこれらの作品のどれとも違う。主人公のミナは望まないまま奇妙な部屋に足を踏み入れる。見知らぬ三人は監視されていると気づいている(知っている)が、最大の問題は“誰が監視しているのか”を知らないことだ。

本作は、人類が長年に渡って描き続けてきた”監視”のドラマを、新たな設定で描く斬新な作品だ。もちろん、そこで感じる不安や恐怖は底知れないものになるだろう。

監視が生み出す“ふたつの恐怖”

ずっと監視されている環境が恐ろしいのは、単に見られているだけでなく、“見られている”という意識が自分を蝕んでいくことではないだろうか。

もし、あなたが部屋でくつろいでいる時に、部屋の壁の一方がバタンと倒れ、その向こうに1000人の観客が座っていたら、どうだろう? あなたはこれまで通りに行動できるだろうか? 自然に振る舞おうとしても必ず“誰かが見ている”と思って行動するはずだ。その意識は次第に心を侵食していく。

『ザ・ウォッチャーズ』では、正体不明の恐怖だけでなく、“何かに見られている中で行動する”心の恐怖も描かれる。さらに部屋にいるのは主人公ミナだけではない。そこには謎があり、登場人物たちの駆け引きがあり、“見られている”という不安を抱えた者たちの衝突があるはずだ。混乱と恐怖の波紋は何重にも広がっていく。

本作の予告編を観るだけでも、“覗き見”リアリティーホラーの新しさ、設定の面白さを感じられる

部屋に仕掛けられているのは、一方からは鏡のように見え、もう一方にはガラスのように見えるハーフミラー(マジックミラー)だ。部屋の向こうにある空間はどこだろう? この部屋の隣なのか? それとも別の空間とつながっているのか?

密室に監禁されるミステリーやホラー映画は多いが、本作では “覗き見”が加わることで恐ろしさが激増する。

よくよく考えれば、映画館で映画を観ることは、どこか本作に登場する部屋に通ずる部分がある。ふたつの空間が“ガラス/スクリーン”で区切られていて、一方がスクリーンの向こうを監視する。彼らはスクリーンの向こうの人間が泣いても、冒険しても、死んでも、手出しをしないでジッと見ている。

『ザ・ウォッチャーズ』は、映画ファンならば確実に魅了される、見逃せない設定を描いた作品と言えるだろう。本作を映画館で観る我々は“監視する側”なのか、それとも主人公と共に“監視される側”なのか。

本作への期待と、恐怖への予感が消えることはない。

『ザ・ウォッチャーズ』
6月21日(金)公開
公式サイト:http://thewatchers.jp
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