新しい“映画との出会い”がきっとある！
月イチ！“ぴあテン”ランキング
2025年5月公開の「みた」映画ベストテン！

エンタメの出会いと発見を提供する「ぴあアプリ＆Web」のランキング企画『月イチ！“ぴあテン”ランキング』！　「ぴあアプリ＆Web」でいつも映画のレビューを執筆していただいている「水先案内人」合計27名の皆様に、2025年5月公開の「みた」映画の中から特に良かった作品、好きだった作品、高く評価している作品を投票していただいたベストテンを発表します！

本企画は、毎月中旬頃に発表。同じく「水先案内人」の皆様に聞いた「これからみたい」映画ベストテンも、毎月末～翌月初旬に発表しています。ふたつのランキングで、映画ツウたちがみた上で高く評価した作品や期待している作品をチェックして、新しい“映画との出会い”をお楽しみください！

【ランキング投票方法】
水先案内人合計27名に2025年5月公開の「みた」映画の中からそれぞれがベスト3までを挙げていただき、1位：5点、2位：3点、3位：2点のポイントを付けたうえで集計したもの。対象は2025年5月1日～5月31日に日本で劇場公開された作品で、映画祭や特集上映での公開作、配信のみの作品、ライブビューイング、ブルーレイ・DVDのみでの発売作品は含みません。

ぴあ水先案内人27人が投票！
2025年5月公開の「みた」映画ベストテンはこちら！

1位

サブスタンス

公開日：2025/5/16(金)

48pt

同1位

ミッション：インポッシブル／ファイナル・レコニング

公開日：2025/5/23(金)

48pt

3位

ガール・ウィズ・ニードル

公開日：2025/5/16(金)

23pt

4位

リー・ミラー彼女の瞳が映す世界

公開日：2025/5/9(金)

21pt

5位

秋が来るとき

公開日：2025/5/30(金)

19pt

6位

未完成の映画

公開日：2025/5/2(金)

15pt

7位

能登デモクラシー

公開日：2025/5/17(土)

13pt

8位

新世紀ロマンティクス

公開日：2025/5/9(金)

11pt

9位

金子差入店

公開日：2025/5/16(金)

10pt

同9位

ノスフェラトゥ

公開日：2025/5/16(金)

10pt

【ランキング総評】
2025年5月に日本で劇場公開された映画は105本。そのうち、ぴあ水先案内人の「みた映画ベスト3」に選ばれた作品は全部で23本。集計の結果、外国映画の話題作2本が、同じ48ポイントを獲得し、ランキングの1位に輝きました。

まず1本は、デミ・ムーアが美と若さに固執する50歳のスターを熱演した『サブスタンス』。2ヶ月前に発表した「これからみたい」映画ランキングの4位から大きく順位を上げました。「ルッキズムと若さへの執着がここまで恐ろしく描かれているとは」（平辻哲也）などの“観たら期待以上に怖かった”という声が続出した作品です。

もう1本は、『ミッション：インポッシブル／ファイナル・レコニング』！「これからみたい」映画に続き、堂々の首位獲得です。「活動大写真的アクションに圧倒された」（高松啓二）、「ひとえにトムのがんばりっぷりのおかげ」（渡辺麻紀）など、約30年世界を魅了し続けているトム・クルーズに、称賛のコメントが寄せられました。

3位には、デンマークで起きた連続殺人事件を主軸にしたゴシックミステリー『ガール・ウィズ・ニードル』が。「20世紀初頭の戦間期の混乱や街の薄汚さ、貧困などが驚くべきリアリティで描かれていて圧巻」（佐々木俊尚）という感想にもあるように、モノクロームの映像表現が高く評価されている傑作です。

→水先案内人が投票する、2025年5月公開の「これからみたい」映画ベストテン　へ

ぴあ水先案内人から寄せられた選出コメント

相田冬二
Bleu et Rose／映画批評家

2025年5月公開の「みた」映画ベスト3
① 新世紀ロマンティクス
② サブスタンス
③ かくかくしかじか
【選出コメント】
①淡さと濃厚が等価の世界観。ジャ・ジャンクーの境地。②意識高い系と思わせておいてクローネンバーグ・スプラッタをルネサンスする度量。③永野芽郁の芝居が全てを成立させている。

池上彰
ジャーナリスト

2025年5月公開の「みた」映画ベスト3
① 能登デモクラシー
② わたのまち、応答セヨ
【選出コメント】
①映画の舞台は能登半島ですが、マスメディアの存在しにくいところでは、地方自治がどのように摩滅し腐敗していくかをリアルに描き、その流れに抗する地方メディアの存在意義を痛感します。②日本に初めて綿花がもたらされた蒲郡市。すっかり活気を失っていた町の活性化につながる映画を制作してほしいと依頼された監督と80歳の職人との出会いをきっかけに、思いがけない展開が始まります。町の活性化に必要なものとは何かを考えさせます。

坂口英明
編集者（ぴあ）

2025年5月公開の「みた」映画ベスト3
① 金子差入店
② 父と僕の終わらない歌
③ 犬の裁判
【選出コメント】
①拘置所などへの差入代行業をなりわいとする一家の物語、というユニークな設定がいい。②父親がすきな音楽は60年代のアメリカンオールディーズ、舞台は横須賀というのが成功要因。①②とも寺尾聰が出演している。③薬殺寸前の犬を救おうという裁判ドラマ。演じたワンちゃんはカンヌで「パルムドッグ賞」受賞！

佐々木俊尚
フリージャーナリスト、作家

2025年5月公開の「みた」映画ベスト3
① 秋が来るとき
② ガール・ウィズ・ニードル
③ 金子差入店
【選出コメント】
①はフランソワ・オゾン新作で、さすが手練れの演出と物語の展開が見事。②は社会派ミステリーなのだが、その設定以上に20世紀初頭の戦間期の混乱や街の薄汚さ、貧困などが驚くべきリアリティで描かれていて圧巻。③は拘置所への差し入れを代行する業者が主人公という珍しい設定で、恐ろしいほどに心揺さぶられた。岸谷五朗演じるヤクザの面会シーンが圧巻。

高崎俊夫
フリー編集者、映画評論家

2025年5月公開の「みた」映画ベスト3
① 秋が来るとき
② ガール・ウィズ・ニードル
③ リー・ミラー彼女の瞳が映す世界
【選出コメント】
①のフランソワ・オゾンはかつての才気を剥き出しにした作風は影を潜め、円熟した眼差しで一人の老女の抱えたある秘密に分け入ってゆく。聖体拝受の儀式、さらに同じ教会での老女の親友の葬儀に昔の仕事仲間の女たちが訪れるシーンを見て、マックス・オフュルスの『快楽』（1952）への屈折したオマージュであると確信した。ちなみに『快楽』はゴダールがパリ解放後のフランス映画のベストワンに選んだ超絶的な傑作である。

高松啓二
イラストレーター

2025年5月公開の「みた」映画ベスト3
① ミッション：インポッシブル／ファイナル・レコニング
② リー・ミラー彼女の瞳が映す世界
③ マリリン・モンロー　私の愛しかた
【選出コメント】
①やっぱりトム・クルーズの活動大写真的アクションに圧倒された。トムが動けば映画だ！ ②本作でリー・ミラーのことを知った。美しき戦場カメラマンの真実。③決して下品にならないセクシーさがモンローの最大の魅力。たとえそれがセルフプロモーションであってもレジェンドになった。

平辻哲也
映画ジャーナリスト

2025年5月公開の「みた」映画ベスト3
① ミッション：インポッシブル／ファイナル・レコニング
② 能登デモクラシー
③ サブスタンス
【選出コメント】
①は「高級食材のメガ盛り」のような娯楽作。IMAXなど大スクリーンで観るべし。クルーズ62歳。恐るべし。②は疲弊した地方政治の問題を鋭くえぐる。考えさせられるドキュメンタリーだが、ユーモアのスパイスが効いている。③はデミ・ムーア主演の風刺ホラー。ルッキズムと若さへの執着がここまで恐ろしく描かれているとは。

渡辺祥子
映画評論家

2025年5月公開の「みた」映画ベスト3
① ミッション：インポッシブル／ファイナル・レコニング
② クィア／QUEER
③ サブスタンス
【選出コメント】
肉体を駆使して頑張ったトムには申し訳ないけど、闘う相手がAIというのが残念だった①。007役を降りたら美男に一目ぼれ!?の②、ダニエルの魅力は役の幅の広さですね。美と若さへの執着を描くとホラーになってしまうというのが笑えた③。

渡辺麻紀
映画ライター

2025年5月公開の「みた」映画ベスト3
① ミッション：インポッシブル／ファイナル・レコニング
② リー・ミラー彼女の瞳が映す世界
③ サブスタンス
【選出コメント】
①はいつも以上にツッコミどころ満載にもかかわらず「それでもいい！」と思わせる稀有な映画。ひとえにトムのがんばりっぷりのおかげです。②と③も同じく主演女優のがんばりが映画を面白くしてくれたので。