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第5回:マーベル人気ナンバー1!? アベンジャーズの敵“ロキ”はなぜこんなにも愛されるのか?

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ディズニープラスで連続ドラマ『ワンダヴィジョン』『ファルコン&ウィンター・ソルジャー』を成功させたマーベル・スタジオの待望の新シリーズ『ロキ』が先ごろから配信をスタートした。

本作の主人公は、神の子ソーの義弟で、嘘と裏切りを愛する邪悪な神・ロキ。かつてはアベンジャーズの敵として登場し、ヒーローたちを苦しめたこともある超クセ者だが、彼はマーベル有数の人気キャラクターでもある。

ロキに新シリーズの主役は務まるのか? でも、あのロキのことだからきっと“予想もしなかったこと”をやらかしてくれるに違いない!

世界中のファンが期待と不安が入り混じった状態で新エピソードの公開を今か今かと待ちわびている!

イタズラ好きの神は“邪悪”なヒーロー!? ロキとは一体、何者なのか?

不思議なハンマー“ムジョルニア”を手に敵に立ち向かう神の子ソーは、北欧神話に登場する雷神がモデルになっているが、ロキも北欧神話に登場するイタズラ好きの神がモデルになっている。

神々が住む世界アスガルドの第二王子だったロキは、兄のソーを尊敬してはいるが、王位継承者である兄に嫉妬し、自分こそが真の王位継承者であると考えている。しかし、人々から尊敬を集めるのは兄ばかりで、自分は”未来の王の弟”でしかない。

劣等感や愛されたい気持ちが強いロキは、生来の“天邪鬼”な気質もあって本心を明かさず、口から出るのは皮肉や悪意のあるジョークや相手を翻弄する言葉だ。相手を欺き、操ることに長けたロキは、虎視眈々と王座を狙っては、これまで兄や父によって野望を見抜かれ、打ち砕かれてきた。

さらに彼は自分がアスガルドの王オーディンの実の子ではないことを知ってしまう。それでも自分は王になりたい。ロキの複雑な思いはこじれにこじれ、彼はついに映画『アベンジャーズ』で、謎の宇宙種族と手を組んで地球=ミッドガルドに侵攻することを決意! 彼は誓う。兄ソーに復讐し、地球を侵略、そして王になるのだ!

このロキの企みを阻止するために、ソーやアイアンマン、キャプテン・アメリカらが団結して組んだチームが"アベンジャーズ”だ。

ロキは人々を操り、兄の説得も聞かず、不思議なエネルギーを内包した四次元キューブの力を悪用。ついには宇宙種族の大軍団を引き連れて、地球侵攻を開始。結果としてアベンジャーズの活躍によって計画は阻止されるが、地球にとって邪悪としか言いようのない存在だったことは間違いない。注目すべきは、ロキが地球を支配しようとした理由だ。この時の彼の考えが『ロキ』の第1話でも描かれる。彼は言う。

「ほぼすべての者にとって、決断は恥や不安をもたらし、そして後悔を生む。選択すべき時には必ず間違った道が選ばれる」

だからこそ、自分が王になって、すべてを決断するのだと。いかにも敵役のキャラクターが語りそうなセリフだが、マーベル作品でこのセリフが語られる意味は大きい。

なぜなら、マーベル映画は全作品に渡って主人公の“選択”が最重要テーマだからだ。スパイダーマンもキャプテン・アメリカも最初はヒーローではなかった。思い出してほしい。彼らはある偶然や事件によって強大な力を手にするか選択を迫られてきた。力を手に入れることを選べば、愛する人たちを救うことができる。しかし、その代償を支払わなければならない。それでも彼らは選択するのか?

このテーマはかたちを変えながらマーベルの全作品で描かれていることを考えると、ロキは“マーベル作品の根幹にある考え”に疑問を投げかける存在としても捉えることができるだろう。

ロキは単なるシリーズの“イチ悪役”じゃない。マーベルシリーズすべてに揺さぶりをかけ、その存在を脅かす人物でもあるのだ。

悪いけど憎めない! ロキが世界中のマーベルファンから愛される理由

ここまで読んで、ロキは最悪で許しがたい人物だと思った人もいるかもしれない。ちょっと待ってほしい。実はこんな男でありながら、ロキはマーベルシリーズ屈指の“愛されキャラ”でもあるのだ!

彼は確かにイタズラの神で、人を裏切り、ダマし、王の座につこうと様々な策を練る。しかし、その根底にあるのは、誰かに愛されたい、人から認められたい想い、皆から愛される兄の影として生きてこざるを得なかった哀しみだ。

だから彼は兄ソーを苦しめることもあるが、完全に兄と決裂することはない。どれだけ自分が有利な局面に立っても、兄を尊敬し、愛する気持ちが消えないからだ。そして彼は自分の出生の秘密を知ったことで、母への愛情がさらに深くなっていることを確認する。時に彼は“悪”のサイドにいるかもしれない。しかし、母のことが頭によぎると彼はその仮面を即座に脱ぎ捨てて、母を愛するひとりの息子になる。

確かにロキは善人ではない。裏切り者で悪人の部分もあるかもしれない。しかし、世界中のファンが彼を憎めないのだ。

さらに相手を瞬時に観察し、言葉巧みに翻弄し、変装しては周囲を撹乱し、観る者の予想を軽やかに裏切る行動に出るロキは、映画界屈指のトリックスターでもある。

どんな窮地に立たされてもジョークを飛ばし、一発逆転のチャンスを狙うロキは“次に何をするかまったく読めない”男。彼が画面に登場すると必ず笑えて、不穏な空気が漂い、次の瞬間にはアッと驚く展開が待っている。そんな魅力的な男が愛されないはずがないのだ!

ロキがここまでファンから愛され、フィルムメイカーを魅了し続けてきたのは、名優トム・ヒドルストンの力が大きいのではないだろうか。英国出身のヒドルストンは数々の舞台で高い評価を獲得し、確かな演技力、戯曲を読み込んで解釈する力を蓄えてきた。キャリアの初期から映像の世界でも活動していたが、2011年に『マイティ・ソー』でロキを演じたことで世界中がその才能に魅了されることになった。

その場を制御するかのような鋭い視線、整った顔立ちから繰り出される苦悩、怒り、たくらみの表情、そして観客が思わず心を奪われる満面の笑み。セリフ回しも精緻で的確。ヒドルストンがキャスティングされていなければ、ロキはここまでの人気キャラクターにはなっていなかっただろう。

ヒドルストンは「ロキは永久に興味の尽きることのないトリック満載の箱のようなもので、人々が彼のことを理解できたと思えた瞬間に、まったく違う正体を現して見せたりする」と分析するも「僕は最初からずっとロキ自身や彼の持つ脆さに深い愛情を抱いている」と語る。

「もちろん、ロキには特定の役割があって、僕はまず悪役を演じなければならなかった。その次にはアンチヒーローを演じなければならなかった」

しかし、初登場から10年を経て、ロキはついに物語の主役の座に立つことになった。それだけではない。ヒドルストンはこうも宣言しているのだ。

「今回、僕らはロキの殻を破り、彼を変えながらも、彼の中にある良い側面をすべて残すことができるかどうかを見極める必要があった」

ロキの殻を破る? ロキが変わる? 新シリーズ『ロキ』は一体、どんな内容なのか?

あのロキが“変化”するって本当? 注目の新ドラマ『ロキ』はこうなる!

ドラマシリーズ『ロキ』は、映画『アベンジャーズ』の結末から始まる。ロキは地球征服計画を阻止され、アイアンマンたちに捕らえられるが、『アベンジャーズ/エンドゲーム』で描かれた不測の事態によって、強大なパワーを秘めた四次元キューブを再びに手にすることになる。時空を超えてアベンジャーズから逃れたロキ。しかし、彼を待っていたのは意外な場所だった。

シリーズの第1話でロキが連れてこられたのは、時間変異取締局(Time Variance Authority=TVA)という謎の組織。彼らは時間の流れを変えてしまった人間や事件を取り締まり、世界の時間を修復するために活動しているらしい。アベンジャーズに捕まっていなければならないはずなのに逃亡したロキは、本来の正しい歴史の流れ=神聖時間軸を逸脱した“変異体”として扱われ、裁判にかけられる。

これまでどんなピンチであっても巧みにすり抜けてきたロキも、TVAの世界では力を発揮することができず、脱出は不可能な模様。しかし、彼の前にTVAエージェントのメビウスが現れ、ロキを自由の身にすることと引き換えに、あるミッションを持ちかける。それは様々な時代に出現しては歴史の流れを勝手に変えてしまう人物を追い、世界の時間を修復することだ。

行き場を失ったロキはメビウスと渋々タッグを組むことになるが、彼らが対峙する相手は、常に相手を翻弄し続けてきたロキでさえも驚くような“意外な人物”だった!

本シリーズの最大のポイントは、あの一匹狼のロキに“相棒”がいることだ。アメリカ映画界を代表する個性派俳優のひとりオーウェン・ウィルソンが演じるTVAエージェントのメビウスは、ロキのこれまでの人生や秘密、その内面をよく知っており、なんと“その後のロキ”のことまでお見通しだ。

何でもメビウスは任務遂行のため、相手をダマし、翻弄し、トリックにかけるロキの能力が必要らしい。アベンジャーズに敗れたばかりで、まだ野望の火が消え切っていない邪悪なロキと、そんなロキを信用しているのか、単に利用しようとしているのか第1話を観た段階ではまだよくわからないメビウス。このコンビは一体、どの時代に向かい、どんな任務につくのだろうか? そして世界の時間を改変しようとする者の正体とは?

本シリーズの今後の展開はロキの行動と同じぐらい読めないが、トム・ヒドルストンは「ロキは進化しなければならない」と言う。

「ロキは基本的に同じ歌を何度も繰り返し歌ってきた。ロキが信用される、そして彼が裏切る、彼が悪者になる、彼が再び人を信用することを学ぶ、今度は彼が裏切られる、彼が再び人を信じる、彼が信じても大丈夫かもしれない存在になる、と思ったら彼がまた裏切る、もしくは、彼が裏切られたと感じる。とにかく信用と裏切りと抵抗の終わりのないサイクルさ。

でも、僕らは今回のドラマでそれを破っているんだ。ロキは果たして変わることができるのか? ロキには変われる資質があるのか? 彼に変わることができたとしても、他の人々は彼が変わることを許すのだろうか? ロキは自分のやり方から抜け出すことができるのか? ロキは今までとは違う選択をすることができるのか? そういう選択ができたとして、彼はその先どこに行くのか? これまで築き上げたものを尊重することと、新しい何かを作り上げること、そのふたつのピッタリのバランスをとる方法を見つけようとする作業は本当にエキサイティングだよ」

衝撃の発言である。あのロキが本作ではついに進化し、変わることを選ぶかもしれない。そう、ロキの“選択”がシリーズの重要なテーマになるかもしれないのだ。繰り返すがマーベルの主人公たちは、いつも極限の状態で選択してきた。選ぶことで自分は進化する、言いかえると後戻りできないほどに変わってしまう。それでも彼は選ぶのか?

世界のファンから愛され続ける“裏切り王子”ロキがついに主役の座に躍り出た。それは彼の“選択の物語”になるのか、それともロキは私たちが愛してきたロキのままなのか? 1話たりとも見逃せない、マーベル史上最も先の読めないシリーズの開幕だ!

『ロキ』
ディズニープラスで配信中

(C)2021 Marvel.

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