シネフィルWOWOW×ぴあ
バック・トゥ・ザ 80’s-90’s ムービーズ!
世界中の名作映画を中心に、WOWOWオリジナルドラマや英国ドラマ等の優れたドラマ、傑作アニメを本編中CMなし、高画質で放送する専門チャンネル「シネフィルWOWOW」。毎月、テーマと作品選びにこだわっている「シネフィルWOWOW」が12月~1月にかけて、特に力を入れてお送りするのは、『バック・トゥ・ザ・フューチャー』など映画史に残る傑作や、今まさにブーム到来!な80年代を代表する日本の大人気アニメ『うる星やつら』など、80年代~90年代の“面白い!”映画の数々。今観ても懐かしいだけじゃない、新たな発見たっぷりの80’s-90’s ムービーの魅力をお届けします!
第2回
LiLiCo×よしひろまさみち対談 “わたしと映画とあの時代”(前編)
ぴあ(アプリ)ではエッセイもご担当していただいているご存じLiLiCoさんと、同じくぴあ(アプリ)では水先案内人としても寄稿していただいている映画ライターのよしひろまさみちさん。今回、同世代でプライベートでも仲良しのおふたりによる80’s-90’sの映画トークが実現! 当時の映画や思い出についてばかりか、来日間もないLiLiCoさんの知られざるエピソードも飛び出したお話を前後編でお届けします!
よしひろ 80年代は、LiLiCoさんはスウェーデンと日本の両方を知っている時代ですよね。思い出すことは?
LiLiCo 1989年に日本に来たんだけど、その前はスウェーデン。当時の私が何をしていたかというと、夢を見てた!
よしひろ ゆ、夢すか!
LiLiCo きっかけは『フラッシュダンス』ね。それと、ポップス音楽も華やかな時代で、マイケル・ジャクソンにマドンナ、シンディ・ローパーとか大好きだったから。MTVと映画のおかげでファッションや流行に直結していたでしょ。それで、スターに憧れて夢を見ていた時代。
よしひろ 日本だとハリウッド映画全盛だったのと『ベストヒットUSA』でそれらが紹介されてましたけど、ヨーロッパだとよりリアルに流行を感じたでしょうね。
LiLiCo そうだね。ほとんどの若い子が、映画の主題歌やMTVに出てくるスターのことを追っかけていたし、スタイルをマネしていたかな。私はマネというよりも、スターの衣装そのものが欲しかったから、自分で服を作ってたくらい。映画や音楽のファッションにハマり過ぎちゃってたよね(笑)。
よしひろ え? 自分で普段着までお裁縫しちゃってたの!?
LiLiCo さすがに手縫いじゃなくてミシンだけどね。私、すごく得意なのよ。日本に来て芸能活動を始めた時期の衣装も、全部自分で作ったものだったから。そんなわけで80年代は、早く学校を卒業して、日本に行ってスターになりたい!って思ってたんだよね。
よしひろ 当時って家庭用ビデオが始まったくらいの時期でしたけど、家でビデオを観る派でした? それとも映画館に行ってました?
LiLiCo ウチにビデオはなかったんだよね。だから、映画館に通ってた。それで『フラッシュダンス』にハマったし、『E.T.』や『グーニーズ』なんて、大作映画で泣く経験をするとは思っていなかったから、今でも覚えてるし。一方では『クロコダイル・ダンディー』みたいな超娯楽作にもハマったしね。『ステイン・アライブ』とか音楽映画を観た後は、みんなの足取りがステップ踏んでいるみたいだったもん。
よしひろ ですよね。日本でも70年代の『サタデー・ナイト・フィーバー』くらいからドハデなハリウッド映画のネタを、当時ブームだった漫才でパロディやってたような覚えが(笑)。
LiLiCo 『サタデー・ナイト・フィーバー』はスウェーデンでもヒットしてたね。お笑いでパロディをやるっていうのはなかったけど(笑)。主題歌がヒットした映画って日本だとなに?
よしひろ 80年代で覚えてるのは『バック・トゥ・ザ・フューチャー』のヒューイ・ルイス&ザ・ニュースとかだけど、そのへんはたぶんスウェーデンと同じだと思いますよ。なんせ洋楽ブーム全盛期で、テレビ番組でもよく洋楽ヒットチャートやってたくらいですから。その筆頭が小林克也大先生で、あたしは克也さん推しの洋楽で育ったようなもんで(笑)。もちろん映画音楽もその中に入ってきてたし、映画のシーンが主題歌のプロモーションビデオに盛んに使われていたから、映画も洋楽も同時に学べたんですよね。
LiLiCo 当時は映画の主題歌が必ず大ヒットしたから、映画と音楽が密接で、それを逃したら流行も逃すっていう時代だったよね。それはスウェーデンも同じだったなー。ただ、私が自分の普段着に取り入れるのが早過ぎて、学校の同級生とかは「なにそれ」とか言って指さすの。その数週間後には同じようなコーディネートで学校に現れるくせに(笑)。
よしひろ だって、LiLiCoさん。ショップにその手の服が並ぶ前に、自分で作ってるんだもの(笑)。そりゃ早過ぎますよ。ちなみに、当時、映画を紹介するメディアはありました? テレビで映画の放映とか。日本だと淀川長治さんの『日曜洋画劇場』や、水野晴郎さんの『金曜ロードショー』、荻昌弘さんの『月曜ロードショー』など、映画解説者が出演する映画番組がTVで花盛りだったので、お茶の間でのハリウッド映画への興味がすごく高かった時代なんですよ。
LiLiCo その頃の日本は知らないんだけど、その話はよく聞いてます。いい時代だったね。スウェーデンではどうだったかっていうと、TVではチャップリンとヒッチコックしかやってなかったんだよ(笑)。でも、ヨーロッパだから、カンヌやベルリンとかの映画祭の情報はすごくたくさん入ってくるの。でも、そういった映画祭で賞を獲っていた作品は、子供にはまだ分からないから、やっぱりハリウッドの映画にハマってたよね。映画や音楽の情報をどこで知ったかというと、『OKEJ』っていう雑誌。いわゆるカルチャー雑誌なんだけど、流行っている映画の記事が載っていてね。発売されたら真っ先に読んでた。たとえば『グーニーズ』のときはスピルバーグのインタビューが載ってて、船のシーンの裏話があったり、そういうネタを学校で誰よりも先にしゃべってたの。
よしひろ まさかその頃、自分がそういったメディアで映画を紹介する側にいくとは思わずにやっちゃってましたね(笑)。
LiLiCo たしかにー。その当時から、映画にまつわる裏話が好きだったから、そのスタンスは今も変わってないんだよね。ヒットした映画でも、自分のタイプじゃないっていうのあるじゃない。当時の私でいうと『ロッキー』とかがそれにあたるんだけど、それでも雑誌で読んだ裏話なんかはすごく楽しく読めてね。あぁ、やっぱり私は映画をただ観るだけじゃなくて、映画にまつわる雑学を知るのが好きなんだ、って思ってたなー。
よしひろ あたしもそうですよ。当時は映画雑誌がたくさんあったし、一般誌でも映画特集をよく組んでいたので、それを読みあさって。インターネットはなかったけど、目に触れるメディアがこぞって映画を取り上げていたから、自然と入ってきましたね。LiLiCoさんが大好きな『フラッシュダンス』も、すごかったんですよ。大ヒットしたし、テレビスポットも大量だったから、あたしの世代の人だったら全員知ってる。
ふたりの気になるお話の続き(後編)は12月13日(金)更新予定。お楽しみに!
12月20日は『カツベン!』公開記念 周防正行監督特集を放送!
周防正行監督の最新作『カツベン!』の12月13日(金)公開を記念して、12月20日(金)は監督の初期作3作品を一挙放送! 修行僧たちの青春を独特のユーモアで鮮やかに描いた『ファンシイダンス』('89年)、相撲部に入ることになった大学生の奮闘をコミカルに描いたコメディ『シコふんじゃった。』('92年)、日本アカデミー賞で13部門を始めとする数々の映画賞に輝いた『Shall we ダンス?』('96年)をお届けします。『ファンシイダンス』では役に合わせて坊主頭で挑み、映画初出演ながらシブがき隊のイメージを覆す演技を見せたモッくんこと本木雅弘は、『シコふんじゃった。』でも主演を務め、92年1.23号のぴあの表紙にもふんどし姿で登場!
■特集 映画『カツベン!』公開記念 周防正行監督(3作品一挙放送)
12月20日(金)17:00~ 『ファンシイダンス』〈4K修復版〉
12月20日(金)19:00~ 『シコふんじゃった。』〈4K修復版〉
12月20日(金)21:00~ 『Shall we ダンス?』〈4K修復版〉
そのほかの放送日
『ファンシイダンス』〈4K修復版〉1月12日(日)、22日(水)
『シコふんじゃった。』〈4K修復版〉1月6日(月)、22日(水)
『Shall we ダンス?』〈4K修復版〉1月7日(火)、22日(水)
※すべて2Kダウンコンバート放送