シネフィルWOWOW×ぴあ
バック・トゥ・ザ 80’s-90’s ムービーズ！

第4回
五月女ケイ子のひとりシネコン絵日記『バック・トゥ・ザ・フューチャー』

独特の画風で人気のイラストレーターで、雑誌「ぴあ Movie Special」でも10年前から映画イラストコラム“五月女ケイ子のひとりシネコン絵日記”を連載中の五月女ケイ子さん。今回はそんな五月女さんに、『バック・トゥ・ザ・フューチャー』の思い出を語って頂きました！

『バック・トゥ・ザ・フューチャー』を久しぶりに観ました。冒頭の、自動朝食製造機のシーンだけで、あのときのワクワク感がよみがえります。デロリアンでのタイムスリップシーン、静寂の中に残された炎のタイヤ痕、今見てもカッコ良かったです。

『2』でタイムスリップした未来＝2015年を余裕で飛び越えてしまった私は、1955年だけでなく1985年にもタイムスリップした気分になり、マーティのスケボーファッションに目頭を熱くしました。恋人役が着ているブルゾン、ペプシのガラス瓶も。今は誰もがタピオカミルクティー片手に街を闊歩していますが、あの頃は、お祭りの日以外に、外で飲み物を飲むのは、ナウくてホットな行為だったのです。80年代には将来真似したいことが沢山ありましたが、あまりにも特異で浮かれていたので、真似できる年齢になったときには、魔法のように消えていました。小学生にできたのは、半袖シャツの袖を2回折り上げることくらいでした。

久しぶりに観ると、脳内イメージと違っていたところがいくつかあって、若い頃のお母さんが肉食系だったこと、お父さん役のキャラがなんだか濃すぎるところが印象的でした。お父さん役の人は『チャーリーズ・エンジェル』の痩せ男と同一人物と知って、すごく納得。　

当時、硬派な男性がタイプだったので引っかからなかったマイケル・J・フォックスも、予想以上にキラキラしていました。ギター、スケボー、可愛さ。小さい身体にギュッと凝縮された魅力で、小さくても芸があればモテると世の中に示し、背が低い男子の星となったのでした。

『E．T．』や『インディ・ジョーンズ』、そして『バック・トゥ・ザ・フューチャー』を、アトラクションで追体験できる今、なぜか現実の夢以上に夢を叶えた気分になるのは、あの時代の映画に、現実にありえないことや、今正面きって言うと照れくさい〝夢〟や〝青春〟が、マイケルの魅力の如くぎゅっと詰め込まれていたからなんだと気づきました。あのお祭りのような時代を生きた幸せを、映画を観終えて、あらためて噛み締めたのでした。

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