シネフィルWOWOW×ぴあ
バック・トゥ・ザ 80’s-90’s ムービーズ!
世界中の名作映画を中心に、WOWOWオリジナルドラマや英国ドラマ等の優れたドラマ、傑作アニメを本編中CMなし、高画質で放送する専門チャンネル「シネフィルWOWOW」。毎月、テーマと作品選びにこだわっている「シネフィルWOWOW」が12月~1月にかけて、特に力を入れてお送りするのは、『バック・トゥ・ザ・フューチャー』など映画史に残る傑作や、今まさにブーム到来!な80年代を代表する日本の大人気アニメ『うる星やつら』など、80年代~90年代の“面白い!”映画の数々。今観ても懐かしいだけじゃない、新たな発見たっぷりの80’s-90’s ムービーの魅力をお届けします!
第7回
森崎ウィン「自由とパワーが80’-90’sの映画にはつまっている」
80’sムービーへのオマージュが随所に散りばめられ、映画ファンを歓喜させた『レディ・プレイヤー1』。同作でハリウッドデビューを果たした森崎ウィンも、撮影時には80’sムービーをチェックし、役づくりの参考にしたそう。世界を舞台に活躍の場を広げ続ける森崎ウィンが感じる80’s-90’sムービーの魅力とは。そこには、ミャンマーで生まれ育ち、俳優・歌手として多方面に才能を発揮する彼ならではの視点があった。
『シャイニング』は怖すぎて背後が気になってしょうがなかったです(笑)
――『レディ・プレイヤー1』といえば『バック・トゥ・ザ・フューチャー』のデロリアンや『AKIRA』のバイクが登場するなど、80’sカルチャーへのオマージュがふんだんにつめこまれていました。撮影の裏話があればぜひ聞かせてください。
物語の中で『シャイニング』のホテルの中に入るシーンがあって。でも、撮影では全部モーションキャプチャーなんですね。だから、映画の中ではロビーの様子も完全に再現されていましたけど、実際の撮影では僕の目の前にあるのは全部ただの棒切れ(笑)。ただの棒を指して、「これがタイプライターね」と言われて、「お、おう……」ってかなり戸惑いました。
――演じる側にはものすごく想像力が求められるわけですね。
だから参考に『シャイニング』を観ておいてくださいって言われたんですけど、本当観ておいて正解でした。ボールルームの雰囲気とかも、先に『シャイニング』を観たことによってイメージがつかめましたし。
――『シャイニング』といえば、1980年に公開された傑作ホラーです。ご覧になっていかがでした?
観たのが、カメラテスト期間中で。リアルにイギリスのでっかいホテルで観たのもあって、めちゃめちゃ怖くて(笑)。ずっと背後が気になってしょうがなかったです。
――その他に80’sカルチャーでふれてみたものはありますか?
音楽はよく聴いていました。特に好きだったのが、Daryl Hall & John Oatesの『You Make My Dreams』で。カッコいいなと思って聴いていたら、『レディ・プレイヤー1』のエンディングで『You Make My Dreams』が流れてきて。この曲がエンディングに使われることをまったく知らなかったのでビックリしました(笑)。
――すごい偶然!(笑)
あとは、チャッキー(映画『チャイルド・プレイ』に登場する殺人人形のこと)も小さい頃におばあちゃんに観せてもらった記憶があります。とにかく怖かったという印象が強くて。今でも、家の中にぬいぐるみとかがあると目が合ったような気がしてちょっとビクッとなんですけど、これはチャッキーのトラウマなんじゃないかと(笑)。
『レディ・プレイヤー1』の中には、僕も把握しきれていないくらい、たくさんの作品のキャラクターが出てきて。80’s好きの方にとっては、そこもたまらないポイントのひとつだと思います。
――ウィンさんが演じたダイトウ/トシロウの「俺はガンダムで行く!」という名台詞も、公開当時話題になりました。
あそこの台詞は自分で決めなくちゃいけなかったんですけど、撮影のときはどのガンダムになるのかまだはっきり決まってなかったんです。だから、あんまり種類を限定するような台詞はダメで。どうしようって悩んだんですけど、「ガンダムにリンクさせるより、ダイトウが本当に戦争に行く気持ちで言ってほしい」と言われて。いろいろ考えた結果、最終的にあの台詞になりました。
――撮影を通してウィンさん自身が感じた80’sムービーの魅力とは?
撮影に入るときに『チャイルド・プレイ』も観たんですけど、今観るとチャッキーとか全然怖くないんですね。でもそれが逆に味があっていいというか。
今って自分が映画の中に入っているんじゃないかって錯覚を起こさせるような映画がたくさんあって、フィクションとリアルの境界線がどんどんつかなくなっていますけど。当時の映画はいい意味でつくりものの世界。そこが、ある種ツッコみたくなるような、クスッと笑える要素になっていて、今の映画にない魅力だなと思います。
『バック・トゥ・ザ・フューチャー』には人間の夢と想像力が溢れている
――ぜひウィンさんの好きな80’s-90’sムービーを教えてください。
80’sでひとつ挙げるなら、『フラッシュダンス』ですね。プロのダンサーを目指す女の子のお話なんですけど、このヒロインを演じるジェニファー・ビールスが死ぬほど可愛かったんですよ(笑)。本格的な映画はこれが初出演で、オーディションで大抜擢されたそうなんですけど、ダンスも芝居も全部いい。他の役者さんももちろん素晴らしいんですけど、彼女が全部持っていきましたね。それぐらい魅力的でした。
――音楽活動もされているウィンさんからすると、ダンスや音楽の面でも見どころがあったのではないでしょうか?
痺れました! クラブのステージで踊るシーンがあるんですけど、照明も衣装も振付もめちゃくちゃヤバイ。もう40年も前の話なのに演出が全然古くないんです。むしろめちゃくちゃカッコよくて。特に面白かったのが、中盤に出てくるテレビを使ったダンスシーン。ステージ上にテレビを真横に置いて、テレビをつけたら風がふわっと吹いてくるんです。後ろにはマス目のようなセットが置いてあって。それがあることで、ものすごく踊りが立体的に見えてくる。それがめちゃくちゃ面白くて、いつか自分のライブでも真似したいなって思いました(笑)。
あとは90’sなら、定番ですけど『バッドボーイズ』が大好きです。
――1995年に公開された、マイケル・ベイ監督の映画監督デビュー作ですね。
純粋にウィル・スミスがすごく好きで、昔からよくウィル・スミスの作品を観ていたんですけど、特にこの『バッドボーイズ』のウィル・スイスはめちゃくちゃカッコいいんです。当時、ウィル・スミスはまだ20代半ばで、よく考えると今の僕よりも年下なんですけど、そんなふうには思えないぐらい色気がある。もうずっとウィル・スミスがカッコいいなと思いながら観ていました(笑)。
――マイケル・ベイ監督といえば、その後も『アルマゲドン』や『トランスフォーマー』など迫力あるアクションエンターテイメントでヒットを飛ばしています。
面白いですよね。『バッドボーイズ』も高速道路を使ったアクションシーンがあるんですけど、よくこんなものが撮れたなというぐらいスケールがすごくて。やっぱりハリウッドはお金とパワーのかけ方が違うなと思います。
とにかく当時から圧倒的に最先端なんです。ストーリーはシンプルだけど、その分展開が早くて、観ていて気持ちいい。考えさせられる作品ももちろんいいですけど、この映画は本当に迷いがなくて、純粋にずっと観ていられる面白さがある。またラストもカッコよくて。こういう作品を観ると、やっぱり僕はエンタメが好きなんだなと感じました。
――確かに、80’s-90’sは多くの傑作エンタメが生まれた時代でもありました。
それこそ本当に王道ですけど、『バック・トゥ・ザ・フューチャー』とか最高じゃないですか。とにかく脚本が面白くて、最初から最後まで観る人を飽きさせない。自動車を改造してタイムマシンにするなんて夢があるし。しかも過去での出来事を通じて、自分の今が変わるなんて、こんな話を思いついた人は本当に想像力があるなって。こうやって話をしているだけでもワクワクしてきますからね。
――1989年に公開された『バック・トゥ・ザ・フューチャー PART2』では未来へ行きますが、実は主人公たちがタイムトラベルしたのは2015年。すでにもう今の私たちからすると過去の世界だったりします。
本当ですか? それを聞くと、ますますすごいなって思います。だって、実際にはまだあんな未来にはなっていないわけですから。それだけ当時の人たちの想像力が先を行っていた証拠ですもんね。80年代を過ごした人たちが、近い将来、こんな未来が叶うかもしれないとイメージしながら描いた作品だと思うと、なんだかもう一度改めて見直したくなりました(笑)。
――80’s-90’sの作品にふれてみて感じる、この時代の魅力とはなんだと思いますか?
パワーじゃないですか。僕は1990年生まれなんですけど、そのちょっと前、88年にミャンマーの民主化があって、89年にベルリンの壁が崩壊して、91年にソ連が崩壊して……と、まさに時代が大きく変わった瞬間に生まれたんです。そう考えると、当時、僕を生んだ両親は相当強い人だなと思うし。あの時代に生きている人たちはみんな打たれ強いし、自分の道を自分で切り開くパワーを持っているなと、映画を観ていても感じます。
あとは自由ですね。
――自由?
今って世の中全体がとても堅苦しくなってきて。あれはダメこれはダメって、どんどん規制ばかりが多くなっている。社会が発達して、コンクリートが増えていったのと引き換えに、僕らもセメントで固められているような感じがするんですね。
でも80’-90’はまだ人も大らかだし、社会を変えていくパワーに満ちていて、ものすごく自由。そういう自由な空気にふれられるのも、当時の映画を観る楽しみのひとつだと思います。
撮影/高橋那月 取材・文/横川良明
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『BTTF』だけじゃない!
マイケル・J・フォックスの魅力をこの2本で!
『バック・トゥ・ザ・フューチャー』(’85)の出演によってハリウッドスターの仲間入りを果たしたマイケル・J・フォックス。シネフィルWOWOWでは、『バック・トゥ・ザ・フューチャー』シリーズ3部作だけでなく、彼の魅力がつまった主演作2本もお届け!
『バック・トゥ・ザ・フューチャー』と同年公開の『ティーン・ウルフ』では、興奮したり、追い詰められたりすると狼に変身してしまう高校生役を、『摩天楼(ニューヨーク)はバラ色に』(’86)では、田舎からニューヨークにやって来て大企業の中であの手この手を使ってトップに登り詰めていくひとりの若者を演じています。
■『ティーン・ウルフ』
1月12日(日)15:30〜17:15
1月30日(木)19:00〜21:00
■『摩天楼(ニューヨーク)はバラ色に』
1月12日(日)13:30〜15:30
1月23日(木)16:30〜18:30
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『フラッシュダンス』
Blu-ray: 1,886 円+税
DVD: 1,429 円+税
発売元:NBCユニバーサル・エンターテイメント
※ 2019 年 12 月の情報です。
『バッドボーイズ』
Blu-ray 1,800円(税別)
発売・販売元:ソニー・ピクチャーズ エンタテインメント
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