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【特典映像解説①】『オッペンハイマー』ブルーレイ&DVD発売! 3時間超えの特典映像に収められるノーラン監督のこだわりとは?

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クリストファー・ノーラン監督作『オッペンハイマー』の4K Ultra HD&Blu-ray、Blu-ray&DVDが、9月4日(水)に発売された。本アイテムには本編のほか、3時間を超える特典映像を収録。全世界でさまざまな議論を生んだ本作の裏側、意図、作り手の情熱を感じることができる内容になっている。

なぜ、ノーランは『オッペンハイマー』に挑んだのか?

特典ディスク最長の映像が『現代の物語:メイキング・オブ・「オッペンハイマー」』だ。この映像では冒頭からノーラン監督が登場し、本作に着手することになった経緯、そこに込めた想いが語られる。

天才的な科学者J・ロバート・オッペンハイマーは、学問の世界に魅了され、量子の世界に想いを馳せ、学び、研究を続ける過程で想像もしなかった瞬間に立ち会う。それは核分裂反応を見た瞬間だ。この時を機に彼はアメリカ軍の極秘プロジェクト“マンハッタン計画”に加わり、世界で最初の原子爆弾の開発に着手する。

映画はノーラン監督の言葉を借りると3つのブロックで語られる。序盤は「ヒーローの冒険の始まり」。可能性に満ちたオッペンハイマーの若き日が描かれる。そして中盤は「犯罪映画の雰囲気だ。ナチスとの競争の中で徒党を組み、途方もないこと(原子爆弾の開発)を成し遂げる」。そして「終盤になると緊迫感あふれる法廷劇が展開される」のだ。

ノーラン監督は、人類の歴史を永遠に変える瞬間に立ち会った人間=オッペンハイマーの内面を探り、観客がその場に立ち会えるように一人称で脚本を書き、徹底的に“主観”で映画を構成していく。その脚本を手にしたオッペンハイマー役のキリアン・マーフィは何を考えたのか? 特典映像では彼だけでなく、オッペンハイマーの妻キャサリンを演じたエミリー・ブラント、製作者のエマ・トーマス、チャールズ・ローヴェンらのインタビューもたっぷりと登場する。

本作は上記のような三幕で構成されながら時に時制が入れ替えられたり、画面がカラーになったり、モノクロになったりもする。さらにカメラは登場人物の顔に極限まで近づく場面もあれば、まるで実験者のような距離で物事を冷徹に見つめ、描写している場面もある。

なぜ、本作はこのような語りになっているのか? 劇場公開時にはハッキリと明かされることがなかったノーラン監督の意図や想いが特典映像を観ることでクリアになるはずだ。

すべては目の前にあった。“実物”にこだわった映画制作

「可能な限り実写にこだわる主義なんだ」とノーラン監督は語る。現在の映画制作ではデジタル技術の導入により、CGが多用されるようになったが、ノーラン監督は可能な限り、”実物”を撮ろうとすることで知られている。

しかし、本作は1920年代から始まる数十年にわたる壮大なドラマだ。実在の場所が数多く登場するが、現在の景観は当時とは変わっている。どうするか? メイキング映像では本作の壮大な制作過程が明らかになる。

核爆弾の実験と開発が行われたロスアラモス国立研究所はアメリカのニューメキシコ州に存在するが、映画では同州のアビキューゴーストランチに巨大な町のセットが建てられた。プロダクションデザイナーのルース・デ・ヨングが「規模の大きさに1週目から音を上げた」と語る巨大なセットは、ただ規模が大きいだけでなくロスアラモス国立研究所から資料の提供を受けてデザインされ、細部まで忠実に再現されている。

メイキング映像ではヨングが実際にセットの中を歩きながら細部を紹介する場面が登場するが、劇中では一瞬しか映らなかった部分まで徹底的に作り込まれていることに驚かされる。すでに映画を観た人は、あのロスアラモスの施設の中に映画館がふたつあると気づいただろうか? メイキング映像では映画館についても紹介され、ノーラン監督がセレクトした“ある映画”が上映されていることが判明する。

その一方で、 “実際の場所”でも撮影が行われたことが分かる場面も登場する。オッペンハイマーの一家が本当に暮らした家、理論物理学者のニールス・ボーアがやってきたロッジ、オッペンハイマーとアインシュタインのやりとりが行われたプリンストン高等研究所の場面はセットではなく“現地”で撮影された。オッペンハイマーが本当に暮らした場所、通った施設で撮影したことは俳優や撮影にどんな影響を与えたのか? このシーンも必見だ。

さらに実物にこだわるノーラン監督は、俳優の見た目も徹底的にこだわった。髪型や衣装へのこだわりはもちろん、登場人物の年齢の変化もデジタル処理ではなく、職人たちの技が試される特殊メイクによって実現した。メイキングでは俳優たちにアーティストたちがメイクを施し、キャラクターを変身させていく過程が描かれる。通常のカメラよりも高精細なIMAXで撮影された本作では顔の細部まで写ってしまうため、特殊メイクに求められる基準も高い。そのこだわりは一見の価値がある。

可能な限り実物を用意して、目の前のものをカメラにおさめる撮影は、時間と手間と予算のかかる手法だ。メイキング映像にはノーラン監督や出演者だけでなく、各界のプロフェッショナルが登場し、担当の垣根を超えて協力していく様が描かれる。

大作映画のメイキング映像は数多くあるが、撮影、メイク、編集などパートごとの映像をつなぎ合わせたものが多い。しかし、映画『オッペンハイマー』は撮影規模が壮大で、まだ誰もやったことがない手法にあえて挑んだ。スタッフがセクションを超えて“チーム”として格闘していく様をとらえたメイキング映像は、映画ファンならずとも感動するはずだ。

オッペンハイマーとは何者か? 貴重な映像で深掘りする

本作は実在の人物J・ロバート・オッペンハイマーが主人公の作品だ。1904年に米ニューヨークで生まれ、理論物理学者として活動し、原始爆弾開発の指導者的な役割を担った彼は“原爆の父”とも呼ばれている。

映画はカイ・バードとマーティン・J・シャーウィンの書籍『オッペンハイマー 「原爆の父」と呼ばれた男の栄光と悲劇』をベースにしており、史実に基づいているが、オッペンハイマー本人をより深く知ることができる映像が特典ディスクには収録されている。

オッペンハイマー本人
Photo:AFLO

リー。貴重なフッテージが次々に挟み込まれ、生前のオッペンハイマーの映像や彼の言葉が登場。映画をより深く知り、考えを巡らせることができる映像だ。

さらにオッペンハイマーの功績を現代を生きる我々がどう受け止めるのか考えたい人は、特典映像の『ミート・ザ・プレス:「オッペンハイマー」Q&A』を観ると良いだろう。

この映像はアメリカ3大ネットワークのひとつ、NBCの人気報道番組『ミート・ザ・プレス』の放送を収録したもの。ノーラン監督、映画の基になった書籍の著者カイ・バード、ノーラン監督が物理学のアドバイスを受けている理論物理学者のキップ・ソーンと、カルロ・ロヴェッリ、そしてロスアラモス国立研究所の所長を務めるトム・メイソンが登場。

本作は史実にどこまで忠実なのか? ノーラン監督はオッペンハイマーについてどんな想いを抱いて映画化に着手したのか? 現役の物理学者は本作をどう観たのか? リラックスした空気の中で濃密な議論が交わされる。

映画『オッペンハイマー』は史実をベースにした作品だが、劇中で何かしらの主張をしたり、観客に何かを訴えるようなことはしていない。劇中ではそう簡単には答えの出ない疑問が提示され、その解釈や答えは観客に委ねられている。だからこそ本作は全世界で大ヒットし、公開後には様々な議論が巻き起こった。

本作の特典ディスクはメイキング、ドキュメンタリーなど多岐にわたっているが、どれもが“種明かし”や“正解発表”ではなく、本作をより深く楽しみ、考えることができる絶好の材料ばかり。映画館で深く感動した人、疑問が残った人、まだ考え中の人は本編と合わせて何度も観ることで、より深く作品が楽しめるだろう。

<リリース情報>

『オッペンハイマー』

2024年9月4日(水) デジタル販売開始 4K UHD、ブルーレイ&DVD発売
2024年9月25日(水) デジタルレンタル開始

発売・販売元:NBCユニバーサル・エンターテイメント

※アウターケース(Oリング)仕様

【特典映像】
■現代の物語:メイキング・オブ・「オッペンハイマー」
1. 我は死なり
2. 先覚者たち
3. マンハッタン計画
4. 神は細部に宿る
5. この世界に生きる
6. 音楽は聴けるか?
7. 奇跡を起こす
■フィルムの革新:「オッペンハイマー」における65ミリモノクロフィルム
■ミート・ザ・プレス:「オッペンハイマー」Q&A
■戦争のない世界へ:オッペンハイマーと原子爆弾
■予告編集

(C) 2023 Universal Studios. All Rights Reserved.