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ぴあ 総合TOP > ぴあ映画 > TOHOシネマズ ピックアップ・シネマ Vol.12『脛擦りの森』 蒼戸虹子にインタビュー!

TOHOシネマズ ピックアップ・シネマ Vol.12
『脛擦りの森』蒼戸虹子にインタビュー!

TOHOシネマズが“いま、気になる映画・映画人”をピックアップする特集「TOHOシネマズ ピックアップ・シネマ」が行われ、俳優の蒼戸虹子が登壇した。

蒼戸は、モデルとして活動した後、2024年から俳優活動を開始したばかりの新星だ。昨年末には出演映画『白の花実』が公開され、最新作『脛擦りの森』では、高橋一生、黒崎煌代と共演。幻想的な森の奥深くで、たった3人の登場人物だけで紡がれる本作で、蒼戸は謎に満ちた女性、さゆりを演じている。

4月10日(金)公開『脛擦りの森』|本予告

劇中の蒼戸の存在感は圧倒的で、無邪気な子どものような表情を見せるシーンもあれば、観る者を一瞬で緊張状態に陥れるような演技も披露する。今後、日本映画界で欠かすことのできない俳優になりそうな彼女に、大好きな映画と映画館のこと、『脛擦りの森』の裏話、そして目指す俳優像について語ってもらった。

いつまでも映画は自分にとって特別なもの

── この企画は毎回、映画館のスタッフが、気になる映画人をピックアップする特集上映です。

蒼戸 小さいときからずっと映画が好きで、映画を通じて世界が広がったり、自分が助けられた感覚があったので……映画館は自分にとって本当に大切な場所です。だから映画に関わられている方たちに、こうして選んでいただけたのは本当に嬉しかったです!

── 今も映画館によく行かれますか?

蒼戸 行きますね。ひとりでも行きます。映画館で「こんな映画がもうすぐ始まるんだ」って発見もありますし、最近は少し前の映画のリマスター版の上映が多いですよね? そういう映画を今、映画館で観ることができるのもすごく嬉しいです。

── 過去の作品でも可能なら映画館で観たいですか?

蒼戸 そうですね。映画館で観ると、映画の内容だけじゃなくて、そのときの自分の気持ちだったり、行った日の天気のことなどいろいろなことが記憶に残る気がするんです。だからやっぱり映画館で観たいな、って思います。

── そんな蒼戸さんも俳優として映画に出演するようになりました。

蒼戸 ずっと好きな映画を観ては「こんな世界に自分も行ってみたいな」と思って、この世界に興味を持つようになったので、実際に自分が映画の中にいることにまだ慣れないです(笑)。でもやはり……すごくうれしいですね。

── モデルをされたり活動は多岐にわたっていますが、映画は特別なものですか?

蒼戸 特別ですね。私は好きな映画ができると、何回も観るタイプなんです。映画館に行って、その映画の世界に引き込まれて、観る度にすごく安心できたり、自分も頑張ろうって思える。だから、いつまでも映画は自分にとって特別なものだと思います。

『脛擦りの森』では高橋一生、黒崎煌代と3人きりの演技に挑戦!
幻想的な森で過ごした“贅沢な時間”

── 俳優として活動を始められてから、立て続けに出演作が公開されています。『脛擦りの森』のキャストは高橋一生さん、黒崎煌代さん、蒼戸さんの3人だけ。俳優としてプレッシャーは大きかったですか?

蒼戸 高橋一生さんも黒崎煌代さんも、これまで映画の中で観てきた方たちなので、自分が撮影現場で一緒に演じていることもどこかずっと現実じゃない、みたいな感覚がありました。

だから、撮影中はこの作品の世界の時間がずっと流れているような感じで。目の前にいるのは高橋一生さんなんですけど、役としてそこにいる感覚。だから自然と撮影に入っていけた感覚はありました。あと、きっとあの場所でなければ、こうはならなかったと思います。

(C)『脛擦りの森』プロジェクト

── 撮影された岡山県の自然は、現実とは思えない幻想的な光景です。

蒼戸 ホテルから車で1時間、そこからさらに徒歩で30分移動した場所が、撮影現場でした。本当に山の上で、携帯もつながらないような場所だったんですけど、その分スタッフ、現地のみなさんとの距離も近くて、たくさんお話させていただくことができましたし、撮影が始まって、みなさんと話していくうちにリラックスして撮影に臨めるようになりました。結果的にお芝居にすごく集中できる環境で、あの場所から受け取って生まれてきたものも大きかった。今振り返ると、すごく贅沢な撮影だったと思います。

── 撮影現場では、蒼戸さんの演技やたたずまいから渡辺(一貴)監督が新しいアイデアを思いつくこともあったと伺いました。

蒼戸 あるシーンで私が微笑んだら、監督から「このシーンでは微笑んだ方が逆に怖い感じがあっていいね」って言っていただいて、演技を変えたりすることもありました。監督はいつも「“さゆり”として、そこにいればいいんだよ」と言ってくださって、撮影現場で生まれたものをスタッフ、みなさんがちゃんと受け止めてくれて、面白がってくれる。それは本当にありがたいことでしたし、自分からもっと考えよう、いろいろと試してみよう、という気持ちになりました。

「全身で感情が表現できるお芝居をできるようになりたい」

── 蒼戸さんが演じた“さゆり”は森の奥深くで暮らす、謎に満ちた女性です。

蒼戸 演じる上では謎だったり、不思議な感じというのは意識しないで、彼女は彼女なりの日常をずっと過ごしているんだと考えて演じました。その上で、さゆりの持っている無邪気さや純粋さが、映画を観ていると少し違和感を感じたり、時には怖かったりする。その点はすごく意識しました。

(C)『脛擦りの森』プロジェクト

── さゆりの衣裳も独特ですね

蒼戸 いろんな時代のものがミックスされているんです。巫女さんのような衣裳を着ているんですけど、なぜかゴム長靴を履いていたりする。それは単に、彼女がこっちの方が好き、こっちの方が履きやすい、みたいな理由で選んでいったものなのかなとお話して。本当に無邪気に純粋に選んでいったものだけを着ている。それがさゆりの恐ろしさにつながっているような気もします。

── こうして伺っていると、撮影現場の風景や空気、共演者、衣裳など、周囲の要素を丁寧に取り込んで演じられた感じがします。

蒼戸 この映画は脚本を読んでも、セリフはほとんどないんです(笑)。でも、実際に撮影現場に行くと台本に書かれていた壮大な景色が目の前にあって、共演者のみなさんもいて……自然と作品の中に入っていくことができました。撮影現場はすごく寒い場所で、雪が降っている日もあったんですけど、なぜか寒さをあまり感じないような……本当に不思議な感覚の中で、他のことに気をとられずに、撮影することに集中できた作品でした。

(C)『脛擦りの森』プロジェクト

── この先、俳優として活動していく上で、重要な1作になりましたね。

蒼戸 そう思います。ご一緒させていただいて、あらためて思ったんですけど、高橋さんも、黒崎さんもすごく声が素敵なんです。声の出し方や声色だけで、いろんな感情を表現できるし、声だけじゃなくて身体の動きひとつでも感情や表情が見える。私も“目に見える”ものだけではなくて、全身で感情が表現できるお芝居をできるようになりたいです。

取材・文:中谷祐介(ぴあ編集部)
撮影:源賀津己

『脛擦りの森』
https://lp.p.pia.jp/event/movie/458486/index.html
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