Vol.8『MONDAYS/このタイムループ、上司に気づかせないと終わらない』
俳優・円井わん&竹林亮監督にインタビュー!
TOHOシネマズが“いま、気になる映画・映画人”をピックアップする特集「TOHOシネマズ・ピックアップ・シネマ」が10月に行われ、『MONDAYS/このタイムループ、上司に気づかせないと終わらない』で主演を務めた円井わんと竹林亮監督が登壇した。
本作の舞台は小さな広告代理店。円井演じる吉川は、永遠に終わることがないような過酷なプロジェクトに忙殺され、オフィスで月曜日の朝を迎える。また始まる新しい1週間……と思ったら吉川は後輩から「僕たち、同じ1週間を繰り返しています」と告げられる。来る日も来る日も仕事に終われ、気がつけばまた月曜日。これはタイムループだったのだ。吉川たちは同僚にこの事実を少しずつ納得させ、ループからの脱出をはかるべく奔走する。
『MONDAYS』は2022年10月に公開され、口コミで着々と観客を増やしてきた作品だ。3館で先行上映され、その後、全国80館以上で上映。日本映画批評家大賞で新人監督賞と編集賞を受賞し、海外の映画祭での上映も続いている。
今でも「MONDAYS観ました」って言われるんです。それはすごいことだなと
── 本作は公開から2年を経て、まだまだ観客を増やし続けています。
円井 なかなかないことですよね。本当にすごいことだと思いますし、これからも1年に1回でもどこかで上映してくれたら「気づいたら10年経ってました」ということになるかも。そうなるといいですよね。
竹林 そうなってくれたら最高ですよね。
円井 ロングラン上映って言っても、ここまでの期間はないでしょうし、公開から2年経って舞台あいさつをすることはまずないことだと思うので、いい経験をさせてもらっていると思います。
竹林 まさか2年経っても上映してくださるところがあるなんて……本当にありがたい限りです。
円井 今でも「MONDAYS観ました」って言われるんですよ(笑)。それはすごいことだなと。
── 本作への出演を機に円井さんは活躍の場を広げられています。竹林監督もCMの世界から映画制作に進出し、12月には新作ドキュメンタリー『大きな家』が待機中です。本作がキャリアに与えた影響は大きいのではないでしょうか?
円井 本当に大きな変化だと思います。これまでは映画に出ても、映画好きの方だったり、映画人/映画関係者の方が観てくださっていたんですけど、この映画はテレビ業界の方とかこれまで知り合う機会のなかった人が観てくださっているんです。だから、すごく運が良かったなって。
竹林 最初の心づもりと現在の状況のギャップは大きいですよね。最初は短編を撮るつもりで始めたんですけど、いつの間にかこんなことになっていて、たくさんの方に観ていただけましたし、海外の方にも観ていただけて。さらにまだ新しいお客さんが増えていっているのを感じるんですよ。
コマーシャルは放映しても長くて3カ月で終わってしまうので切なさがあるんですけど、ひとつの映画がこうして残っていることで、次の映画にも気合いが入りますし、「長く付き合う映画になるのだから、もっと真摯に向き合おう」と思うようになりました。
円井さんが出てくれることが決まったところで「演出は終わったな」と
── 今あらためて撮影を振り返って、印象に残る竹林監督の演出はありましたか?
円井 撮影中は演出らしい演出があったわけではなかったんです。
竹林 このキャストが揃ったことがすべてですよね。
円井 確かに。「このキャストの中で主演なのか!」って思いましたもん(笑)。トップというか、ボスの人たちが集まった、という感じでしたね(笑)。
竹林 キャストのみなさんが本当に素晴らしかったんです。
円井 この役は嫌われたらおしまい、って役ではあるので、そこの塩梅は難しかったです。
竹林 円井さんに主演をお願いしたのはそこも大きかったんです。というのも、円井さんが演じた吉川って冒頭ではイヤなやつなんです。それでも観客が主人公に惹きつけられる、イヤなやつなんだけど観客が主人公のことを好きでいられる絶妙なバランスを円井さんは持っていると思った。だから、円井さんが出てくれることが決まったところで「演出は終わったな」と(笑)。
円井 このチームだからできたことが確かにありました。事前に出演者で話し合って作っていく作品もあると思うんですけど、この映画は個々がしっかりとしていたので、撮影が始まるまではそれぞれが話し合いもなく準備して、撮影が始まると、個々の俳優の考えたことだったり、プランを出し合っていく。だから、毎回「ああ、そう来るのか!」ってなるし、芝居していて本当に楽しかったんですよ。めっちゃ面白いことするやん!って(笑)。
だから、すごい居心地がいいし、変な競争心もないし、めちゃめちゃ面白い。理想的なグループでしたね。
竹林 キャスティングというのは本当に大きいですよね。
円井 監督はすごく自由にいさせてくれるんです。っていうか、監督、現場にいました?
竹林 めっちゃずっといました(笑)
円井 「あれ? 竹林さんはどこ?」って思うときがあって(笑)
竹林 カメラの横にずっといました(笑)
円井 監督の存在を忘れて、みんなで楽しもうとしてたのが結果的に良かったのかもしれないです。
竹林 キャストの方によっては、すごく細かく質問してくる方もいますし「お任せしておけばいいんだな」という方もいて、そこは面白かったです。
── 『MONDAYS』はリピーターが多い作品ですよね。結末まで知っても、登場するキャラクターに“また会いたくなる”感覚になるのかもしれません。
円井 竹林さんの映画は、登場人物みんながヒーローって感じがするんですよ。竹林さんにもヒーロー気質があるし、ドキュメンタリー『大きな家』でも出てくる人を絶対に見捨てない。
── 竹林監督の作品は、劇映画であってもドキュメンタリーであっても、“人を見つめる視点”は一貫していると思います。
竹林 プロットや脚本を書くときは、物語を機能させることを最優先に考えるんですけど、撮影に入ると俳優さんが魅力的に見える瞬間がやっぱり好きで。映画を進めていく上でも、そこにいる人間に引き込まれたり、そこに血が通っている感じが好きなんです。だから、登場人物がイキイキしていたり、共感できるような瞬間を作りたいと思いますし、編集する上では残したくなるんだと思います。
── 本作はまだまだ観客を増やし続けていますが、また円井さんと竹林監督のタッグ作は観られるのでしょうか?
竹林 円井さんとの撮影は本当に楽しかったので、どの映画でも全部一緒にやりたいんですよ。円井さんはすごく活躍されているので、そこで得たものを僕も享受したいと思ってますし、どうやったら次も出てもらえるか考えています。
円井 実はさっき竹林さんから「どんな役をやってみたいですか?」って聞かれました。
竹林 はい。かなり細かく聞いてしまいました(笑)
撮影:源賀津己
ヘアメイク:MARI(SPIELEN)
スタイリスト:飯間千裕
(C)CHOCOLATE Inc.
『MONDAYS/このタイムループ、上司に気づかせないと終わらない』
https://mondays-cinema.com/
https://lp.p.pia.jp/event/movie/247751/index.html
『大きな家』
12月6日(金)より先行公開
https://bighome-cinema.com/
https://lp.p.pia.jp/event/movie/335750/index.html
Vol.8